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「おうちにかえろう。病院」見学レポート

こちらの病院、まず名前に驚きませんか?

この「おうちにかえろう。」に込められた思いや、それを叶えるための工夫、働いている方の特徴などをご紹介します。

目次

地域包括ケア病棟のみの病院

東京都板橋区にある「おうちにかえろう。病院」は、2021年4月新しく開設された病院です。

病院の概要は、診療科目は内科・外科・整形外科・皮膚科・心療内科、リハビリテーション科、循環器内科、形成外科で、120床の入院病床があります。

特徴としては全病床が、「地域包括ケア病床」予定(※現在2病棟が地域包括ケア病棟。1病棟は今年度届出)になっており、全国的にも珍しい病院です。

地域包括ケア病棟とは

急性期後の受け入れをはじめとする地域包括ケアシステムを支える病棟の充実が求められ、平成26年にできた病棟です。急性期の治療が終わり、在宅復帰ができるように支援することと、在宅からの慢性的な疾患の急性増悪への対応やレスパイトに対応することの2つの役割を併せ持っている特徴があります。そして病院と社会復帰(在宅)へ切れ間のない看護を提供しています。入院期間は60日間と決められています。

「おうちにかえろう。」は患者さん・家族の言葉

医療法人社団焔(ほむら)が運営する病院で、同法人には、「やまと診療所」があります。やまと診療所は、『自宅で自分らしく死ねる。そういう世の中を作る。』を理念に、東京都板橋区からスタートした在宅療養支援診療所です。

現在、板橋、荒川、代々木上原に拠点をもち、年間700名の看取りに携わっています。これまで、多くの患者に関わってきた中で、在宅での療養を希望していても病状の変化や症状により入院が必要となり、そのまま自宅には帰れなくなったケースがあったそうです。

入院の目的が、「病気の治療に偏りすぎてないだろうか。在宅での生活を続けるための治療、入院の形があってもいいのではないか。」そう考えて作られた病院が「おうちにかえろう。病院」です。

https://hospital.teamblue.jp/concept/

 

入院療養の中で、「そうだ、おうちにかえろう。帰ったらこれをしよう。帰ったらあれ食べよう。」などと前向きに自宅での生活をイメージできるように関わる、患者さん・ご家族自らが「おうちにかえろう。」と思える支援を行うことがミッションです。

病院の理念がそのまま病院名になっているのです。

優しそうな院長、水野慎大先生

ではどうしたら「おうちにかえろう。」と思えるのか。

病院には、様々な工夫がありました。次に病院のこだわりを紹介していきます!

①地域との差をなくす、建物のこだわり

病院の入り口、1Fはフラットでガラス張りです。光が外から差し込み明るい雰囲気でした。

病院という閉鎖的な空間ではなく、地域との差をなくし自宅に帰るハードルを低くしています。covid-19の流行で外部からの人の流入を減らすため、面会制限を設けた病院が多い中、感染対策を徹底し、外部からの訪問や面会も継続しているそうです。

1階のカフェは独立営業で、病院に関係のない方でもお茶を楽しめるようになっています。

外から見た院内のカフェ

②自宅をイメージする、病室のこだわり

病室のカーテンはリースではなく、病院購入のもの。病院らしいピンクや薄グリーンのカーテンではなく、自然と自宅をイメージできるようなカーテンを選んでいます。

また病室の壁は全て木製の有孔ボード。好きなものを好きな場所に引っ掛けて眺めたり、作ったものを飾ったりできるようになっています。

病室の入り口 こんな感じにフックでいろんなものを壁面に飾れます。

③陰と陽

病気をして入院しているのは長い人生の一部でしかありません。しかし、これからの生活で病気と向き合いながら「自分らしく」生きていくことを考えなくてはなりません。時には悩み落ち込んだりすることも、時には明るく、前向きな気持ちになったりすることもあると思います。

陰と陽、両方あってもいい。そのため黒い壁と明るい木目の壁と2つが存在しています。どんな時もスタッフは一緒に悩み抜くスタンスで関わっているそうです。

④カンファレンスは、病棟ごとに毎日30分全員参加!

カンファレンスは全職種(医師、看護師、セラピスト、薬剤師、相談員など)で集まり、患者さんの課題を共有しています。

「その人らしさ」に寄り添い、退院後のご自宅での生活が不安なく過ごせるようにするために、それぞれの立場から様々な情報を共有し、チームとして患者一人一人の目標に合わせたケアを行えるようにしています。カンファレンスは業務の中でも一番優先度の高い位置付けです。

⑤空間全体が在宅復帰を目指して

病棟の廊下には、ふらっと座って話ができるように工夫されている空間がありました。医療者と患者さん、患者さんと家族、家族と相談員のように組み合わせ自由です。取材した日も患者さんと医師が1時間ぐらい話をしていたそうです。

廊下にあるちょっとしたスペースも大事なコミュニケーションの空間

1階のだんだん広場では、リハビリを行っていました。”だんだん”になっている場所では、階段の登り降りの訓練だけではなく、自然と腰掛け話したり交流する空間でもあります。調理台があり、となりのOKストア(スーパー)で買い物して調理をしてみる、好きなものを食べることもあるそうです。

リハビリとしての訓練と自分らしく過ごすことへのこだわりが両方詰まっているように感じました。

だんだん広場では、リハビリだけではなく、カンファレンスや研修会なども行われます。

⑥地域に馴染むユニフォーム

ユニフォームは襟付きのシャツとパンツスタイル。白衣ではありません。

職種での色の違いなどはなく好きなシャツを選んで着替え、仕事を行なっています。名札がなければどの職種かわかりませんが、どのスタッフに話かけても何らかの対応ができるようスタッフ側の体制をとっています

職種間の役割はあっても立場をフラットに、常に患者さんにとってのベストを考え抜くチームとしての象徴です。

制服は襟付きのYシャツとパンツスタイルで統一。好きな色のYシャツを毎朝選んで着ています。

⑦スタッフルームはごちゃ混ぜ

5階にあるスタッフルームはデスクルーム・更衣室・会議室・託児所・休憩室があります。

事務、本部のスタッフ、医師、看護師などに限らず、決められた席はありません。
好きな席で各々の作業や話し合いを行なっていたり、休憩をしていたりしています。託児所のお子さんが遊びに来てくれることもあり、心を和ませてくれるそうです。こうしてスタッフの垣根を意図的に取り払うことで、その方にとっての最善を考え抜くために必要なコミュニケーションが取りやすくなる工夫があります。

⑧カルテも自社開発中!

退院時支援では、在宅チームとの連携や他職種での連携が欠かせません。情報の共有のために最近ではチャットを使ったコミュニケーションを用いる地域も増えています。

患者さんの情報共有を他職種、院外の人とも取りやすいように独自に開発しているクラウドを活用した電子カルテを採用。スタッフはタブレットやスマホ端末を使っています。ナースコールもスマホに通知がきて対応できます。

ベッドサイドにはカメラもあり、ナースコールに連動し、テレビ電話のように様子を見ながら対応できます

こんな看護師さんにおすすめ!

最後に病院を見学をしてこちらで働くのにおすすめだと感じたことをまとめました。

  • これからは地域医療・在宅医療に興味がある
  • 訪問看護に転向したいが、今はまだ不安
  • 退院時支援、他職種連携というキーワードが気になる
  • 終末期医療・看護に携わりたい
  • 患者さんの希望をもっと叶えたい
  • 現在の病院の常識を壊したい!
  • 自分にはもっとできることがあるのではないかと思う
  • 仕事を楽しみたい・やりがいのために働きたい
  • 患者さんとの看護で後悔がある方
  • 物事をみんなで話し合い、より良いものを作っていきたい方
  • 素直な性格な方

1つでも当てはまる方は、ぜひ、見学やインターンシップなどしてみませんか?

現在、おうちにかえろう。病院では既卒のスタッフを募集しています。

ブランクがあってもOKです。

このコピーがなんとも医療法人社団焔(ほむら)っぽい

まとめ

患者さん自らが「おうちにかえろう。」と、目標をもち入院生活を通して実際に自宅退院を目指すように支援をすることは、看護として当たり前のことです。しかし、実際私たちは、どのくらい真摯に患者さんに心を砕いた仕事ができているでしょうか?

「おうちにかえろう。病院」ではチームとして患者さんの最善を尽くすというミッションはスタッフ全員の共通目標としています。職種に関係なく、患者さんに向き合い、その方の「自分らしさ」を一緒に追求する姿勢が求められます

募集要項の求める人物像にあるように、今までの関わりで後悔を持ちながら、それでもよりよい看護を目指していきたい、自分自身が成長していきたいと前向きな看護師さんにとって、まず同じような思いの仲間がいるということが、何より働きやすい環境だと思いました。

 

今回の見学のメンバー

おうちにかえろう。病院

〒174-0061 東京都板橋区大原町44-3
代表番号:03-5926-5091
https://hospital.teamblue.jp/

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この記事を書いた人

当サイトを運営するナースライフバランス研究室の代表です。元・病院看護部長。1000人を超える看護師のオンラインサロン運営、新規事業立ち上げなど行っています。

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