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SpO2:100%がよくないのはなぜ?ダメな理由と酸素投与における看護の役割

SpO2100%がよくないのはなぜ?ダメな理由と酸素投与における看護の役割

SpO2が100%である状態は一見理想的に思えるかもしれませんが、実際には過剰な酸素投与のリスクを伴うことがあります。医療現場では、SpO2が100%が示す本当の意味を理解し、適切な酸素管理を行うことが非常に重要です。この記事では、SpO2:100%の状態が抱えるリスクや、酸素管理における適切な指標について詳しく解説します。

目次

SpO2:100%よくないの?正常範囲について

SpO2(血中酸素飽和度)は、血液中のヘモグロビンが酸素と結びついている割合を示す指標で、通常はパルスオキシメーターを使用して測定されます。この値は、心肺機能の評価や呼吸状態の把握に役立ち、一般的に94~98%が正常範囲です。

体内で適切な酸素供給が維持されている状態で健康な成人ではSpO2は94~98%が理想的です。この範囲内であれば、心肺機能や身体全体に過度の負担をかけることなく、日常生活で十分な酸素が供給されていると判断します。

SpO2:100%の意味

SpO2が100%であることは、一見すると体内の酸素供給が十分で理想的な状態に思えますが、必ずしもそうではありません。なぜなら、体内のPaO2(動脈血酸素分圧)が高くなりすぎている可能性があるからです。酸素投与を受けている患者でSpO2が100%の場合、過剰な酸素供給のリスクが高く注意が必要です。

SpO2:100%はなぜ危険な状態なのか?

SpO2:100%の数値は、過換気や過呼吸の可能性があります。過換気とは呼吸が過剰に行われることによって体内の二酸化炭素が過度に排出され、酸塩基平衡(体内の酸性度(pH)を適切な範囲に保つための生理学的メカニズム)が崩れることです。呼吸性アルカローシスの状態に陥ることがあり、より注意深い呼吸管理が必要となります。

SpO2:100%がもたらすリスク

酸素飽和度が100%である場合、PaO2が非常に高くなる可能性があり、過剰な酸素供給による酸素中毒の危険が生じるリスクが考えられます。特に長時間にわたる酸素投与によって起こりやすく、細胞に酸素過剰による酸化ダメージを引き起こす原因になります。

SpO2100%が体に及ぼす影響

酸素飽和度が高すぎる場合、体内で活性酸素種(Reactive Oxygen Species:ROS)が増加し、細胞や組織に酸化ストレスを与えます。活性酸素が増加すると、細胞膜やタンパク質に酸化ダメージが生じ、肺や他の臓器に以下のような悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 肺胞の構造変化とコンプライアンスの低下⁠⁠
  • 呼吸機能の著しい低下⁠⁠
  • 肺炎などの呼吸器感染症リスクの増大⁠
  • 慢性的な肺損傷や線維化の可能性⁠⁠

SpO2が100%であると、見た目には患者の状態が良好であるように見えるため、医療スタッフや家族が安心してしまうことがあります。しかし、実際には体内で酸素が過剰となり、逆に健康に悪影響を及ぼしている可能性もあるため注意が必要です。正しい知識を習得し、症状が進行するリスクを回避しましょう。

SpO2と呼吸数の関係

呼吸数は、1分間に行われる呼吸の回数で、成人であれば通常12~20回が正常範囲です。呼吸数は酸素供給と二酸化炭素の排出を調整する重要な指標であり、異常がある場合は酸素投与の検討が必要です。

SpO2と呼吸数の関連性

SpO2が高くても、呼吸数が変動している場合は、体内の酸素供給や二酸化炭素排出に問題が生じている可能性があります。呼吸困難がある場合は、SpO2の変動と呼吸数を同時にモニタリングし、必要に応じて酸素投与量や投与方法の調整が必要です。患者の状態に応じて過剰な酸素投与を避け、適切な呼吸機能の維持を図りましょう。

SpO2測定の重要性

SpO2の測定は、急性期患者や呼吸器疾患を抱える患者の状態を評価するために欠かせません。数値の急激な変化は、呼吸不全や心肺機能の悪化を示唆する場合があるため、迅速な対応が必要です。正確な判断には、SpO2の値だけでなく、呼吸数や心拍数の同時確認も大切です。

患者の酸素管理における看護の役割

看護師は、患者のSpO2と呼吸数、呼吸音や呼吸パターンを注意深く観察し、必要に応じて適切に酸素供給を調整する重要な役割を担っています。適切な酸素濃度の維持とモニタリングは、酸素不足や過剰投与を防ぎ、患者の呼吸機能を安定させ、安全で快適な状態を確保します。

患者と家族に対しては、酸素投与の目的や管理方法、SpO2値の評価について分かりやすく説明することが非常に重要です。これにより、治療への理解が深まり、患者と家族に安心感を与えられます。また、SpO2値の正常範囲や、100%になった場合のリスクについても丁寧に説明し、過剰な酸素投与の危険性を理解してもらうことが大切です。

さらに、酸素療法が必要な患者のサポートをすることも看護師の重要な役割です。パルスオキシメーターの正しい使用方法や、SpO2値の適切な解釈、そして異常値の場合の対処法などを丁寧に指導しましょう。患者が自身の呼吸状態を適切にモニタリングし、必要に応じて医療従事者に連絡できるよう指導することが大切です。在宅酸素療法を行う患者には、安全で効果的な治療ができる支援が必要です。酸素濃縮器の使用方法や日常生活での注意点、緊急時の対応などについても詳しく説明し、患者のQOL向上と合併症リスクの軽減を支援しましょう。

まとめ

SpO2が100%の状態は一見理想的に思えますが、実は過剰な酸素投与のリスクが高く、必ずしも安全ではありません。医療現場では、過剰な酸素供給がもたらす悪影響を十分に理解し、患者の呼吸状態を慎重にモニタリングしながら、適切に酸素投与を調整することが求められます。適切な酸素管理と呼吸状態のモニタリングで、患者の健康維持回復、QOL向上を目指したケアを行いましょう。

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この記事を書いた人

看護師歴は病院勤務(呼吸器内科6年、神経内科2年) 、デイサービス、訪問入浴を経験後に結婚。2児を出産後に訪問看護師と6年勤務。現在は子育て優先の生活を叶え在宅看護師ライターとして活動中。

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