
「今の職場やめたいな」



「お給料がもっといい職場ないかな」
看護師なら、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか?
そんな時に多くの看護師が検討するのが「看護師人材紹介会社を介した転職」です。
一方で、「看護師人材紹介会社」「転職希望の看護師」「採用をしたい医療機関」3者の関係を説明できる人は、ごく一部です。この3者の関係と無料紹介のカラクリをご説明します。アナタの未来の転職時にきっと役立つはずですよ。
多額の紹介料が発生しているって、本当?!


いきなり結論ですが、本当です!
看護師人材紹介会社が紹介した看護師が入職した場合、医療機関は紹介料を支払う契約になっているからです。
この紹介料は「転職希望の看護師」の「採用予定医療機関での理論年収」(想定年収と呼ばれることもある)の20〜30%です。例えば紹介料が20%の契約の場合、理論年収500万円の看護師1名が就職すると、看護師人材紹介会社は医療機関から100万円の紹介料を受け取っているのです。
例)理論年収 500万円の看護師さん
医療機関と看護師人材紹介会社の紹介料割合が20%の場合


そもそも、看護師人材紹介会社ってどんなところ?


看護師人材紹介会社とは、厚生労働大臣の許可を受けた「看護師を専門とした有料職業紹介所」のことを指します。転職エージェントと呼ばれることもあります。
基本的には転職を希望する看護師と看護師を採用したい医療機関を繋ぐ役割果たしています。看護師に対するサービス内容は主に下記の5つです。
- 看護師の条件などを聞き取り、条件に見合った医療機関の情報を提供。
- 面接の日時の調整を仲介。
- 会社によっては履歴書や職務経歴書のチェックや面接対策のアドバイス、当日の同行。
- お給料やお休みなどに関する条件の交渉。
- 就職後の悩みなどのヒアリング。
なぜ医療機関は多額の紹介料を払ってでも人材確保をする?


医療機関が看護師確保に必死な理由は、現場のマンパワー不足を少しでも早く補うためです。しかし同時に「診療報酬を算定する要件を満たすため」でもあります。
特に入院機能を有する病院にとっては、看護師不足が億単位の減収要因になることもあります。(※医療機関の規模により額は変わります。)診療報酬で収益を得られなければ、必要物品購入や医療機器の買い替え、職員の給料など医療機関での全ての支払いに影響を及ぼすため、看護管理者や人事担当者は必死です。
よって多額の紹介料を看護師人材紹介会社に支払ってでも、看護師確保を行うのです。この結果「看護師が就職をすれば紹介料がもらえる看護師人材紹介会社」と「診療報酬算定要件を満たす必要がある医療機関」とのビジネスが成立しているのです。
無料紹介はいいことだらけ?!


「無料で希望条件に近い医療機関を紹介してくれて、面接に至るまでのサポートや就職後の悩み相談までしてくれるなんて最高!!」ここまで読んだ方のほとんどは、看護師人材紹介会社での転職を知りこう思っている事でしょう。
でもちょっと待ってください。看護師人材紹介会社によっては紹介料を獲得するために、明らかなミスマッチが生じていても、転職を希望する看護師に就職を促すところもあるのが現実です。この結果、就職後ミスマッチに気がついた看護師が相談をすると「お気持ちわかります。でもまだ○ヶ月なのでもう少し様子を見ましょう」と傾聴はした上で、半年間は退職を優しく引き止めるのです。なぜ半年間なのか?理由は簡単です。採用後半年以内の退職が生じた場合は紹介料の○%を返金する、という契約もあるからです。逆をいえば、半年を過ぎてからの退職であれば紹介料の返金が生じないのです。そのため、採用後のフォローアップ期間は半年間と設定されている看護師人材紹介会社もあります。半年間は「もう少し様子見ましょう」と言っていた担当者が「半年経っても合わないと感じるのであれば、一緒に次の転職先を探しましょう」と次の転職へと誘導することもあるのが現実です。
病院にとって紹介料を払い続ける未来は本当に明るい?!


ここまでの情報をもとに、病院が採用にかけている費用を計算してみましょう。例えば、看護師人材紹介会社を使って、1年間で20人の看護師を採用したとします。かかる費用は2,000万円前後(前述の例と同等の看護師が20名と仮定した場合)。でももしこの20人を直接応募で採用できたら、病院はこの約2,000万円を新しい医療機器の購入費用や、皆さんの給料や賞与へ充てることができます。そう考えると、半年で辞めてしまうかもしれない看護師へ支払われる分、医療機器や職員の給料が充実される方がいい気がしませんか?院内がプラスの循環に変わることで、看護師の退職率が下がり頻繁な看護師採用が不要になる可能性もありますね。
まとめ
看護師の転職と看護師人材紹介会社、医療機関との関係性、そして無料紹介のカラクリについてご理解いただけたでしょうか?
明るい未来を目指すはずの転職が、ミスマッチの転職になり再度転職活動を行う……そんな看護師が1人でも減ることを強く願っています。

