「子供がいても働きたい」でも、「子育ての時間も大切にしたい」というのは、看護師ママにかかわらず多くのママが持つ葛藤のひとつだと思います。
夜勤業務を伴うことが多い看護師ママにとって、子育てと仕事の両立に関する悩みは、より深いのではないでしょうか。
近年、病院以外でも看護師が活躍できる場が増えています。訪問看護もそのひとつ。そこで筆者が子供優先の働き方をするために選んだ訪問看護の魅力についてお伝えします。
子育て中の看護師の働き方として訪問看護がおすすめな理由
訪問看護は子供優先の働き方がしたい看護師ママに優しい職場だと言われます。
その理由として土日祝日が休める、夜勤がない、勤務時間を選びやすい、などが挙げられます。もちろん利用者さんとご家族には、お休みなど無いので休日や夜間に訪問が必要となることはあります。しかし、その業務の多くは、事業所によっても異なりますが正規職員によって対応されている所もあるようです。非常勤だからといって責任がないわけではありません。担当した利用者さんへの看護は、雇用形態を問わず看護師一人ひとりに責任があります。目の前の利用者さんに必要な看護は何か、与えられた時間でどう動くか、を仲間と考えながら実践するといった、訪問看護の醍醐味は十分味わうことができます。
訪問看護では非常勤やパート勤務であれば、子供の学校行事やおけいこなどの都合を優先しながら看護師ママの時間を有効活用して、やりがいのある職場で働くことが可能です。
子育て中の看護師ママが子供優先で働いた訪問看護の実際の体験談
筆者には3人の娘がいます。実家は遠くワンオペ状態での子育てだったので、夜勤のある職場で働く選択肢はありませんでした。しばらくは育児に専念していましたが、元々働くことは好きだったので、家庭に縛られて働けないことが徐々に苦痛になり始めました。働きたいけれど、子育てできる時間は限られているのに、自分の気持ちを優先していいのだろうか。悶々とする日々を過ごしましたが、最終的に子供を優先するという条件を自分に課して、パート看護師で復職しました。はじめの3年間を身体障害者のデイサービスで働き、看護協会の訪問看護師養成講座の受講を機に、訪問看護に転職しました。長女が小3、次女が小2、三女が年中さんの時です。週5日16時までの時短勤務から始めました。
三女が小学校に入学した後はフルタイムになりましたが、非常勤のままだったので、休日出勤や緊急当番はありませんでした。子供たちの学校行事や急な発熱など体調不良時にも、子育て経験のあるスタッフに支えられ、お休み調整をしてもらうことができました。時短勤務のころの訪問件数は1日2〜3件で、受け持ちは平均7人程度。余裕のあるシフトを組んでいただいたので、月末の報告書作成時にも、残業することなく対応できました。
その頃は仕事と家事を両立するために、効率的に仕事をこなすにはどうすればいいかを、常に考えていたように思います。ただただ必死でしたが、今から思えばゲーム感覚で楽しんでいた部分もあったかも知れません。その中で段取り、特に準備がいかに重要かを学びました。チームワークの大切さも肌で感じ、スタッフへの感謝の気持ちはできるだけ言葉で伝えるように心掛けていました。
正規職員になり緊急当番もするようになったのは、三女が高学年になったころで、長女は中学生になっていました。夜間の当番は週末を中心にするなどして、徐々に慣れていけるように配慮してもらいました。そのうち子供たちも慣れてきて、家事をしているときに緊急携帯が鳴り出すと、真剣な顔で急いで電話を持って来てくれました。今思い出してもクスッと笑える、楽しい思い出のひとつです。
子育て中の看護師ママが訪問看護を選ぶメリットとデメリット
子供優先の働き方がしたい看護師ママが訪問看護という職場を選んだ時に感じたメリットとデメリットを以下にまとめます。
メリット
- 則正しい生活習慣が守りやすい。
- 与えられた時間を利用者さんやご家族さんだけのために使うことができ、病院勤務の様に一度に多くのタスクをこなす必要がありません。
- 相手とじっくり向き合える看護に、やりがいを感じることができます。
- 規則正しい生活ができるため生きていく土台を作る時期にある幼い子供を持つ看護師ママにとって、子育てとの両立に適した環境と言えます。
デメリット
- 時間的な制約がある看護師ママには、担当している利用者の急変時に対応できないことがあります。他のスタッフのフォローはありますが、私は長い間伴走してきた利用者さんの大切な場面で、自分が関われなかったことに悔しさが残りました。
- 訪問看護は、利用者さんの生活を支える仕事です。個々の利用者さんにとっての生活とは何か、について深く考察します。その過程は、自分自身の子供を持ちながら働くという生活について考えるうえでも参考になると思います。
訪問看護に向いているのはこんな看護師ママ
訪問看護は、利用者さんとじっくり関わることが好きな人、相手のために何ができるかを考えるだけでワクワクする人との相性が良いです。そして、幼い子供がいても、わずかな時間だけでも、やりがいをもって働きたいと思っている看護師ママに訪問看護はピッタリです。筆者は働く時間は短くても大好きな看護の仕事で満たされたことで、子供ともしっかり向き合うことができました。看護が好きな看護師ママの皆さん、訪問看護の世界に足を踏み入れてみませんか?
(ライター:青木 容子)
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