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看護師あるあるプリセプターのおもしろエピソード~新人看護師との関わり・不満や失敗談など~

プリセプターの役割は楽しいことばかりではありません。人に教えることは苦悩や困難がつきものです。失敗や課題に直面することもありますが、やりがいや楽しさを味わうこともあるでしょう。新人看護師と一緒に苦しい時期を乗り越えたあとに待っている達成感や充実感はひとしおではないでしょうか。ここでは、プリセプターのさまざまな経験や、共感できるエピソードを紹介します。

目次

プリセプターあるある① 一人で抱え込まず周りの力を借りることも大切

はじめての新人看護師指導で力んでいた私。
「ちゃんと指導しなくては」「ちゃんと育てなくては」と焦っていました。自分では一生懸命教えているつもりで、「プリセプティにはちゃんとやってほしい」と思っていました。

しかしプリセプティには私の思っている「ちゃんと」は全く伝わっていませんでした。人の価値観はさまざまです。人生経験の長さも影響してくるでしょう。当時の私は「プリセプターなのだから、私が頑張らなくては」と自分一人で抱え込んでいました。どんどん負のスパイラルに陥り、どう教えれば良いのかわからなくなってしまいました。

そんなとき、自分のプリセプターだった先輩が手を差し伸べてくれました。「あなたは一人じゃない。一人で抱え込まず、私や他の先輩たちも頼れば良いんだよ」と言ってもらい、スーッと肩の力が抜けていきました。私にとってプリセプターという仕事は初めての経験。誰でも初めてのことはうまくいかないものです。一人で抱え込まず人に助けを求めることも大切なことだと感じました。

プリセプターあるある②「つもり」は危険

新人看護師に伝えたつもりが実は全然伝わっていなかったという失敗談があります。
私は比較的慎重なタイプなので、プリセプティが滞りなく業務が遂行できているかこまめに確認するようにしていました。

「点滴の準備は大丈夫?」とか「薬は準備できた?」などいつも声掛けを行うようにしていました。あるとき、初めて抗がん剤の点滴を行う患者さんをプリセプティが担当することになりました。今まで何度かそのような患者さんを担当していたので、患者さんへの説明や点滴投与中の観察など問題ないだろうと思っていました。
念のため確認しておこうと思い、「大丈夫?」と聞いたところ「大丈夫」と返事があったので安心していました。ところが、あとになってトラブルが発覚しました。「大丈夫?」と聞くのではなく具体的に何か心配なことがないかなど尋ねるべきでした。

「伝え方」はとても大切で、自分が伝えたからおしまいというのではなく、相手にこちらの意図が伝わっているのかを十分に確認する必要があると思います。
自分では伝わっているつもりというのはとても危険なことだとこのとき感じました。

プリセプターあるある③ 歳の離れた異性のプリセプティ

プリセプターだったとき、新人看護師が3名配属されてきました。私のプリセプティは40代後半の男性看護師でした。異性でさらに年齢が一回り以上離れていたので話す話題も少なく少し困りました。他の2組は年齢の近い同性のプリセプターとプリセプティで、好きなアイドルや趣味の話などで盛り上がっていたのでとても羨ましかったです。

プリセプターあるある④ 指導とパワハラの境目

自分自身、新人看護師の時に「根拠は?根拠は?」と聞かれて育ってきました。特に威圧感のある先輩からの詰問はとてもストレスだったことを覚えています。プリセプティにはそのような対応をしないようにと気をつけるものの、考えれば考えるほど「もしやこれはパワハラではないか」と心配になり、何も聞けなくなってしまうことがありました。自分ではきつい言い方や相手が不快に思う伝え方をしていないつもりでも、実際相手がどう感じているのかはわからないのでとても不安です。考えだすと負のスパイラルに陥っていました。

プリセプターあるある⑤ プリセプティの成長に涙

極度に緊張しやすいプリセプティ。新しいケアをするときはいつもあたふたしていました。できなくて涙する場面もしばば。とくに採血が苦手で、若い患者さんでとてもよく見える血管の採血すらできずに涙していたことも。しかし諦めない気持ちと根性はあり、採血練習用シュミレーターを使って練習に励んでいました。私も練習に付き合い、針の挿入位置や角度の確認を何度もしました。2年目を迎える頃には肥満体型や超高齢で全然見えない血管もバッチリミスなく採血できるまでに成長。その後も採血のスキルを上げていき、難しい血管や何度か他のスタッフが失敗した採血は必ずそのプリセプティに声がかかるほど、採血の達人に。その成長ぶりは圧巻です。

プリセプターあるある⑥ 新人看護師と一緒にがんばり、モチベーションを上げる

とても勉強熱心なプリセプティ。わからないことや悩んだときはすぐに質問をしてきます。
勤務の終わりに毎日1日の振り返りの時間がありましたが、その時間だけでは足りず、プリセプティから「もっといろいろ教えてほしいです」と頼まれ、仕事が終わってからも一緒に勉強したことがありました
勤務中はなかなかゆっくり時間をとって話や質問を聞けませんが、勤務後時間をとって落ち着いて聞くことで、学習面だけではなくプリセプティの思っていることや感じていること、悩みなども聞けて大変貴重な時間だったなと思います。
一緒にモチベーションを維持できるように頑張っています。日々のやりとりの中でその日にできていたことを必ず1つ見つけて褒めるようにしていました。

プリセプターあるある⑦ お母さん新人看護師

あるとき、新人看護師として既卒の子育てママが配属されました。新人でしたが、一度社会で働いた経験がありさまざまなことを卒なくこなす素晴らしい人でした。プリセプターは指導係として一通りの看護ケアや知識を教えていましたが、一方でその新人看護師から子育てと仕事の両立などさまざまなことを教わっていたようです。

プリセプターあるある⑧ 新人看護師の「大丈夫です」にはご用心

頭をかかえる看護師

1つ上の仲の良い先輩がプリセプターをしていたときのこと。定期的に「大丈夫?困ったことない?」とプリセプティに確認していました。いつも「大丈夫です」と返事が返ってきていたので、先輩はその言葉を信じていたようです。しかし、半年程したところで急にプリセプティの欠勤が続き、そのまましばらく休職することに。プリセプターだった先輩はとても落ち込んでいました。「大丈夫?」と聞くだけではなく、具体的に何か困っていることがないかなど普段の様子を見ながら尋ねたほうが良いのだなと周りで見ていて感じました。新人看護師の「大丈夫です」は鵜呑みにしないほうが良いのかもしれません。

プリセプターあるある⑨ 先輩によって指導方法が異なることが混乱を招く

プリセプティから一番相談を受けていたのが、「先輩によっていうことが違うのでどれが本当かわからない」という内容でした。同じケアに対してそれぞれの先輩がそれぞれ異なることを言ってくるため、何を信じて看護すれば良いのかわからないと相談を受けることが多くありました。技術チェック表やマニュアルに基づいて指導をすると決まっていても、自己流の考えややり方を指導するスタッフがいるため混乱のもととなります。指導する側がマニュアル作成をしたり、新人看護師を迎え入れるにあたり、再度統一した関わりについて検討する必要があると感じました。

プリセプターあるある⑩ 新人看護師の指導はみんなでやるもの

とにかく新人や若手看護師にあたりのきつい年配看護師。わたしのプリセプティがうっかりミスをしたとき、「ちょっと!あんた(私)!一体何を教えてんの?ちゃんと教育しなさいよ」ととても叱責されました。たしかにプリセプティのミスはプリセプターの責任なのかもしれませんが、新人看護師の教育はプリセプターだけでなく、病棟全体で行うものだと思います。何でもかんでもプリセプターの責任にするのはやめてもらいたいですね。

プリセプターあるある⑪ アウトプットとインプット

そこそこ経験のある看護師同士ならわかることも、新人看護師には基礎的なことから説明しなければ理解してもらえないこともしばしば。「これぐらいわかるだろう」という思い込みで教えるのではなく、1つ1つ理解できているか確認しながら進めていくようにしていました。人に教えるためにはアウトプットだけではなく、自分自身が常に新しい情報や知識を取り入れるインプットも重要だと感じました。

まとめ:看護師あるあるプリセプターのおもしろエピソード

人に教えるというのは本当に難しいことです。プリセプターは楽しくやりがいのある役割である一方で、不満や失敗談で辛く落ち込むときもあるでしょう。プリセプターだからといって新人看護師の指導を一人で抱え込まず、他の人にも頼りながら未来ある看護師のたまごを楽しみながら育てていけると良いですね。

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この記事を書いた人

看護師、保健師、介護支援専門員。国公立大学看護学科卒業後、総合病院にて手術室、外科病棟を経験。その後、小規模多機能型居宅介護施設へ。在職中に介護支援専門員資格取得したことをきっかけに、在宅分野に興味を持ち訪問看護へ転職。一つの働き方に縛られず、フレキシブルな働き方を目指し、ライター業に挑戦。現在、訪問看護で非常勤として働きながら看護学校非常勤講師や介護士向け研修の講師も務めている。一児の母。

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