いつも多忙な看護師のしごと。日々業務に追われながら、委員会活動や看護研究、新人・学生指導も並行しなければならないことも。目まぐるしい日々の中「自分のやりたかったことなのだろうか」、「患者さんとじっくり関わりたい」と悩む看護師も多いのではないでしょうか。
看護師歴20年を超える私も、忙しい職場で働いてるときに、そのように悩んだことがありました。しかし回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)に転職し、私がやりたかった看護に出会うことができました。
今回は私の経験で感じた「回復期リハ病棟の魅力」をお伝えします。働き方に悩む人は、この記事の内容をぜひ参考にしてみてくださいね。
ライタープロフィール
ゆみきた
看護師歴20年以上。急性期病棟・外来・回復期リハビリ病棟を経て現在訪問看護師。要介護5の母の介護をしながら勤務中。ケアマネ・登録販売者資格等あり。ライブ参加・旅行・動画視聴が趣味。
回復期リハ病棟との出会いは偶然
私が回復期リハ病棟で働くことになったきっかけは、たまたま実家の近くにあったからです。
私は看護学生の時から、実家から離れた場所で生活していました。看護師として忙しい日々を送る中、私は30歳をすぎ両親は高齢となり、父は病気のため入退院を繰り返すように。両親が心配になってきたのと同時に、仕事に疲れてゆったりしたところで働きたい、と思うようになります。新しい職場を探していると、実家の近くにリハビリ病院がありました。ちょうど在宅看護に興味を持ち始めたこともあり、思いきって転職。そこで配属されたのが、回復期リハ病棟でした。
きっかけは「たまたま」でしたが、だんだんと回復期リハ病棟の仕事にやりがいを感じ始め、ライフスタイルも充実させられるようになりました。
回復期リハ病棟の仕事内容
私が働く回復期リハ病棟では、脳血管疾患や骨折などで入院される方が多く、長い方だと入院期間は数ヶ月にも及びます。
回復期リハ病棟といっても施設によって違いはありますが、私が働くなかで感じた、回復期リハ病棟の特徴をまとめます。
①日常生活がリハビリ
ベッドと車椅子間の移乗、洗面、口腔ケア、食事、入浴など、生活に関わる動作ひとつひとつがリハビリといえます。危険がないか配慮しながらも、介助しずぎないように関わります。
②1日の業務の流れが比較的穏やか
急性期治療が終わった患者さんが中心なので、急性期病棟と比べてゆとりがあります。もちろん急な状態変化がないわけではありませんが、患者さんとゆっくり関われると感じています。
③患者さん・家族とのコミュニケーション、教育的関わりが多い
病気によっても違いますが、生活に重点を置いた退院指導がほとんどです。入浴の介助方法やオムツ交換、経管栄養、食事介助など、患者さん・ご家族の生活に合わせた内容をお伝えしています。
④多職種で関わった成果が見えやすい
私の経験として、急性期よりも多職種での関わりとその成果がわかりやすいと感じています。たとえば私の病棟では、PT・OTや薬剤師、ソーシャルワーカーなど、多職種で患者さんの状態を評価する機会が定期的にあります。カンファレンスや情報交換は連日行われ、「チーム全体で患者さん・ご家族に関わっている」という実感がありました。
プライベートを充実させやすい
私がいた回復期リハ病棟は、オペや緊急入院はありませんでした。書類の記入は当日必要でなければ後日にまわし、委員会は時間内、ラダー研修はEラーニングで行っていました。勤務内ですべてを終わらせるような工夫がされていたため、残業はほとんどなく、プライベートな時間を充実させることができました。
回復期リハ病棟すべてに当てはまるわけではありませんが、業務に余裕があるところでは残業は少ない可能性があります。仕事だけでなくプライベートを充実させたいと思うナースにとっては、残業が少ない病棟は働きやすいでしょう。
回復期リハ病棟で働いて感じた魅力
私が実際に回復期リハ病棟で働いてみて、魅力を感じた点を2つご紹介します。
①患者、家族と「じっくり関わる」ことができる
回復期リハ病棟での入院は数ヶ月におよびます。患者さん・家族とコミュニケーションをとれる時間が長く、教育的な関わりを行う機会も急性期より多いと感じます。
1つ例を挙げると、脳卒中の影響で嚥下障害・ほぼ寝たきりで胃瘻造設となった高齢患者を受け持つ機会がありました。自宅への退院希望であったため、妻へ指導を行うこととなります。
日中は妻と二人であるため、妻に手技を獲得してもらう必要があったのです。退院数週間前より指導開始。はじめは自信なく行っていた妻でしたが、繰り返し実施することで手技を獲得し自宅退院できた例を経験できました。
家族背景・環境をアセスメントし、時間をかけて本人と妻に関わるなかで、理解度を確認しながら指導を行うことができました。このように「じっくり関わる」ことができるのは回復期リハ病棟の特徴だと思います。
②身内の介護に役立つ
私個人の経験ですが、身内で介護が必要になった場合、業務で行っていることがそのまま生かせます。
私は今、一人で生活できない母の介護を行っていて、起居動作、車椅子への移乗、トイレ介助、オムツ交換、食事介助に生かせています。
もちろんこれらのケアが回復期リハ病棟でしか経験できないというわけではありませんが、地域の介護サービスについての知識も得ることができたので、母の介護をするときに回復期リハ病棟での経験がとても役に立ちました。介護認定を受ける場合の流れや市内の居宅支援の事業所・介護サービス事業所の概要を知ることができました。
私の家族はまだまだ健康と思っていても、急に介護が必要になることもあります。身内の介護の準備のためだけに転職する必要はありませんが、私は回復期リハ病棟で働いていてよかったと感じています。
回復期リハ病棟はこんな人にオススメ
ふとしたきっかけで働き出した回復期リハ病棟では、一人一人とじっくり関われる、在宅生活に向けた看護ケアを実践できる、プライベートの時間を確保しやすいといった魅力を感じています。
多忙な勤務で疲れている人、急性期で働き続けるのが不安な人、もっと患者さん・ご家族と時間をかけて関わりたいと悩む人は、回復期リハ病棟を考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
回復期リハビリ病棟では、患者さん・ご家族とじっくり関わることができ、多職種での関わりの成果が見えることで、やりがいと充実感を得られると感じています。
ワークライフバランスの面でも、プライベートな時間が確保しやすいのも魅力です。
この記事が、多忙な業務で悩んでいるナースの参考になれば幸いです。
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