泌尿器科看護の患者は子どもから高齢患者まで幅広い年齢層が対象となります。
男性患者も多く、デリケートな部位に関する症状がメインであるため羞恥心や不安に配慮した細やかな関わりが大切です。
この記事では、泌尿器科での男性患者への検査や処置時の関わり方や看護師の仕事内容などについてお話しします。
泌尿器科看護師あるある①恥ずかしい男性患者への関わり方
男性の医師か女性の医師かを気にする男性患者
プライベートな部位の診察であるがゆえ、いざ勇気を出して受診したものの男性医師か女性医師かどちらに診察してもらえるのかで大変ドキドキする患者さんもいるようです。同性の医師にも病状の説明など羞恥心を伴うことがあるのに、女性医師が担当では困ると思う人もいるかもしれません。
若手の女性看護師に反応する男性患者
看護師は女性が多い現状をわかった上で受診していてもやはり男性患者は恥ずかしいもの。年配看護師であれば経験も豊富で、うまくコミュニケーションもとれ、男性患者も少しは羞恥心が軽減するかもしれません。しかし若手の女性看護師というと経歴が浅く不慣れな面もあり、看護師自身が意識してしまうと男性患者は余計に羞恥心を感じることもあるでしょう。
診察や病状によって高まる羞恥心
そもそも陰部はプライベートゾーンであって人に見せたくないもの。診察時には露出は避けられないためカーテンやバスタオルなどで羞恥心を軽減する対応が必要です。病状は様々ですが、思春期や20代の若年層の患者さんに多い包茎などはとくに注意しなければなりません。思春期の患者であれば親同伴で受診している場合もあり、より一層羞恥心が増大しているかもしれません。羞恥心をできるだけ軽減する環境づくりや対応が必要となるでしょう。
コミュニケーションの難しさと配慮
生殖器や排尿に関する症状について説明するのは恥ずかしさが伴います。
症状の出現している部位や症状出現の原因として考えられることなどを話すことは容易ではありません。まして、医療職であれば医療用語を用いた的確な説明ができるでしょうが、一般の人は陰部の名称などを知らない人もいて、どのように説明すれば良いのか悩む人もいると思います。デリケートな部位に関する内容であるため患者と話をするときは大部屋でも声の大きさには配慮が必要でしょう。相手ができるだけリラックスして話せるような対応も必要ですね。
プライバシーに配慮した指導
膀胱留置カテーテル抜去後の観察や自己導尿の指導を行うときにも羞恥心を伴う場合があるので注意が必要です。膀胱留置カテーテル抜去後は尿性状や尿量の観察が必須であるため看護師が男子トイレに入って尿をためてもらう指導をしなければなりません。年齢が若い男性患者だと女性看護師にトイレに付き添われることに対しても恥じらいがあるでしょうし、治療に伴って必要な観察であることをしっかり説明する必要があります。自己導尿の指導では、陰部を露出して指導を行わなければならないためプライバシーには十分配慮しましょう。初めて自分で医療行為を行う緊張感と陰部を露出した状態で指導を受けなければならない羞恥心は計り知れないものがあります。陰部に触れられることや手技を見られることは患者にとって大きなストレスでしょう。仕切られたプライベートな空間で指導を行い、他の患者さんやスタッフの目を避けるように心がけましょう。不安な羞恥心に対して共感することも大切です。
剃毛処理
剃毛処理は経尿道的な手術であれば必要ありませんが、開腹手術や陰嚢の手術では剃毛しなければなりません。剃毛処置は羞恥心を伴うものなので注意が必要です。事前にどのあたりをどの程度処理するかを説明し、なるべく短時間で終わらせるようにしなければなりません。
泌尿器科看護師②仕事内容
尿の処理
泌尿器科では患者の尿量や性状の確認がとても重要です。採尿バッグがずらっと並んだ汚物室で尿量測定三昧の毎日。さまざまな色の尿をたくさんみることができるので大変勉強になります。尿バッグの交換や、尿路カテーテルの管理をするためガウンを着用し、マスクや手袋、フェイスシールドも欠かせません。感染予防のため日頃からフル装備で業務していることも。
自己導尿指導
泌尿器科看護の仕事内容のひとつに導尿指導があります。男性だけでなく女性への指導もあり、鏡を見ながら自己導尿を覚える女性患者への配慮は男性よりも気を遣うことも。
一緒に骨盤底筋訓練
尿道開閉をコントロールする筋肉である骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れ予防や排尿コントロールにつながります。そのため尿失禁や排尿に関する問題を抱えている患者に骨盤底筋訓練を指導します。患者さんが正しい方法でトレーニングできているか確認したり、患者の状態に応じたアドバイスを行ったりします。患者が訓練を継続できるようモチベーション維持も看護師の重要な仕事といえるでしょう。
泌尿器科看護師③検査
痛みや羞恥心が少ない検査もある
泌尿器科といってもいきなり下着を脱いで症状のある部位をみせるわけではありません。まずは問診でしっかり症状や状態を伝えます。そして、尿検査や血液検査、超音波検査など心身への負担が少ない検査をして、そこからわかることもたくさんあります。
検査の目的やスケジュールを伝える
泌尿器科病棟に入院する患者さんは検査目的の1泊入院や数日間の短期入院が多いです。短い入院でも治療スケジュールなどへの不安が伴うため、検査のみの入院で病棟で行う処置が少なくとも患者の思いを傾聴し、気持ちに寄り添ったケアが必要です。
検査機器の名称がわからない
泌尿器科検査では、さまざまな検査機器を使用しますが、それぞれに専用名称があるため覚えるのが大変です。検査前の準備や片付けのときに、機器の名称がわからず苦労することがあります。機器の名称と使い方をあらかじめ確認しておきましょう。
患者さんの不安を和らげる
検査前、患者は不安を感じている人が多いです。検査の内容や術後の経過などが気になりさまざまな質問をしてくる患者さんもいます。検査の内容や手順を丁寧に説明しましょう。とくに前立腺の検査では姿勢や検査時の違和感など抵抗を感じる患者が多いです。不安が原因で検査中にずっと喋り続ける患者も時にはいます。適度に話を聞きつつ、検査に集中できるよう誘導するとともに、リラックスできる雰囲気作りを心がけましょう。
検査中トイレに行きたくなる
検査中にトイレに行きたくなる患者もいます。水分を控えてもらうよう声掛けしますが、どうしても我慢できない場合は検査を中断してトイレへ行ってもらうこともあります。なるべく検査がスムーズに行えるよう工夫が必要です。
飽きない工夫
膀胱鏡検査や前立腺検査は長時間に及ぶものもあります。検査に時間がかかると飽きてくる患者さんも。適宜声掛けをしたり、音楽やテレビを流して飽きない工夫が必要でしょう。
まとめ:泌尿器科看護師の仕事内容
泌尿器科は、患者のデリケートな部分に触れる機会が多い領域です。患者さんの不安や緊張を理解し、気持ちに寄り添った看護が求められます。患者が安心して快適に検査や処置を受けられるか配慮することが看護師の重要な役割といえるでしょう。分かりやすい説明と心理的サポートを含めたコミュニケーションを意識し、質の高い看護の提供を目指しましょう。