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元認定看護師が語る、新たな人生を踏み出すために必要な2つのこと

自分はこのままでいいのだろうか 。

現状に漠然と不安を抱える看護師は、多いのではないでしょうか。

しかしスキルアップや転職など、気になるけれどなかなか動き出せないことがあります。やってみたけれどなんとなくしっくりこない、ということもあるでしょう。
それは自分の本当の望みに気づかず、自分に合った道を見つけられずにいるためかもしれません。

元緩和ケア認定看護師であり、今も新たな道を求めて学び続ける私の経験をもとに、その一歩の踏み出し方を紹介したいと思います。

目次

失ったのはスキルか、自信か、目標か

0時を過ぎ、日本看護協会の認定看護師登録者一覧から名前が消えた瞬間、なんとも言えない喪失感が襲います。一念発起して取得した緩和ケア認定看護師の資格失効は、あっけないものでした。認定看護師を思い立ち、4年がかりで取得し活動を始めた、その全てが無に帰すようでした。出産や夫の転勤による退職というライフイベントによって、更新が叶わなかったのです。

活躍する同期を横目に、自分のやってきたことは何だったのだろう、今後何ができるのだろう、という不安と焦りから、すっかり自信を無くしてしまい、なかなか抜け出せずにいました。

6年後ようやく復職した先は住宅型有料老人ホームでした。主な業務は利用者の健康管理ですが、症状観察や往診医との関わりなど、自分の持つ緩和ケアの知識と技術を活かすことができたのです。そして、これまでの経験とは異なる地域連携、利用者家族との関わりからスタッフ指導まで取り組むことになります。高齢者施設や在宅医療という新しい分野に踏み出したことで、自分なりの看護の道が開けそうな気がしました。

しかし、そのような目標が持てた矢先、またも夫の転勤のため退職することになります。今は新天地で、また新たな道へ飛び込んでいるところです。

踏み出すために必要だったこと

その1 自分の「本当に望むもの」を知る

スキルアップがしたいのは何のためでしょうか。転職を希望する動機は、本当にその理由でしょうか。講座や求人情報を見てもどこかピンとこないのは、自分の「本当の望み」を把握できていないからかもしれません。

復職しなくてはと焦っていたころ、私が主に探していたのはこれまでと同じ病院勤務です。しかし、実際に選んだのは高齢者施設であり、その決め手は勤務時間でした。求人はあるのに決めきれない理由を見つめていくと、私には家族との時間の確保が第一優先であることが見えてきました。元緩和ケア認定看護師などの経歴は二の次であることに気づいたのです。

人は多くの経験とともに、その人生や将来への制約が増えてしまいがちです。それが多ければ多いほど、道は絞れるどころか身動きがとれなくなってしまうことがあります。その中から、自分が1番譲れないものを深掘りしてみると、思いのほか見通しがよくなるかもしれません。

その2 固定観念を捨ててみる

知らないことを知るってワクワクしませんか。全く異なると思っていたことが、自分がこれまで培ってきた看護とつなげることができるかもしれないと気づいたら、更にワクワクするのです。

スキルアップや転職を考えたとき、探すのは医療系の資格講座に病院看護師など、私のベースには必ず「看護師としてどうか」という固定観念がありました。看護師なのだから、それが当然だと思っていたのです。

しかし偶然友人に紹介された看護師のWebメディアで、フリーランスや全く異なる職業と両立している看護師がいることを知りました。まさに晴天の霹靂です。とはいえ、そのようなすごい人もいるのだなというくらいで、身近なものとは思えずにいました。

転機は、夫の転勤による退職後に、いくつかの講座に思い切って参加したことです。気になることはあっても、「看護師には必要ないかも」「どうせ私には無理だ」と尻込みし、今までは手を出せずにいました。ところがいざその世界に飛び込んでみると、その知識や技術が増えることから着眼点が変わり、これまでに無い気づきを得ることになったのです。

 

たとえばカラーセラピーくらいの知識しかなかった色彩心理学は、認知症などの予防やリハビリにも用いられていることを知りました。また、色覚特性者にも配慮したカラーユニバーサルデザインという取り組みがあるなど、実は医療福祉に深い関わりがありました。看護師として現場にいるだけでは出会いにくい世界です。

医療看護現場では非言語的コミュニケーションの重要性を痛感しますが、言語のみのコミュニケーションを求められるのがSNSカウンセリングです。これが大変難しく、改めて傾聴とは何か、相手に伝えるとは何か、という問いを投げかけられました。SNSツールの浸透した現代において、相談窓口としてのSNSは面談や電話以上に気軽に相談しやすいという重要な位置にあります。

このように、気になっていても自分には関係ないと遠目にみるだけでは知り得なかったこと、飛び込んだからこそ見えたものがあります。自分の持つ固定観念を捨てて踏み出してみると、新しい視点を得ることができるのです。

まとめ:看護師の働き方も多様化している

働き方は多様化しており、これまでに無い選択肢が今後も増えていくことでしょう。自分の持つ価値観や考えを変えていくことは容易ではありません。しかし、多くの気づきによってアレンジしていくことは可能です。

華々しくなくても良いのです。新たな人生を踏み出すために必要な2つのことを意識し、自分の気の向くものを見つめてみませんか。そしてちょっとだけのぞいてみる、地道に力を蓄える種まきをしてみるのもいいかもしれません。もちろん思うようにいかないこともあります。しかし、学びや経験は自分の力となるのです。今はまだ即戦力として使えないものも、突然道が開けることがあるかもしれません。

再び夫の転勤を控える私もまた、今の自分の望みと向き合いながら、新しい道を求めて踏み出し続けています。

一度きりの人生、あなたがワクワクするものに、ぜひあと一歩だけ踏み出してみてください。

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この記事を書いた人

元緩和ケア認定看護師。勤務歴はSCU、がん集学的治療病棟、外来化学療法センター、住宅型有料老人ホーム。三児の母。転勤族でも継続可能、家庭との両立可能な看護師の幅広い働き方を求めて、気になることに挑戦中。

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