「働き方を見直したい」「出産後も働きやすい職場に転職したい」と考える看護師は多いでしょう。
病院や施設での勤務は夜勤があったり、カレンダー通りの休みを取りにくかったりするため、仕事とプライベートの両立が難しいと感じることがありますよね。
そんな人におすすめしたいのが、看護教員という働き方です。
この記事では、結婚を機に看護教員へ転職した経験をもつ著者が、看護教員として働く魅力や仕事内容、求人に応募する際の注意点について紹介します。
休みを取れるだけじゃない!学び直しのチャンスにも
都内の大学病院に勤務していた私は、結婚を機に地方へ転居することになり、勤めていた病院を退職しました。転居後は「家庭と仕事を両立しやすい職場を選びたい」と考え、四年制大学看護学部の非常勤助手として再就職しました。
私が非常勤助手として約3年間働くなかで感じた、看護教員として働く魅力は5つあります。
1.夜勤がなくカレンダー通りの休みが取りやすい
看護教員の仕事は夜勤がなく、講義や実習がない日曜や祝日は休みになります。病棟勤務に比べるとカレンダー通りの休みが取りやすいため、「夜勤のない仕事がしたい」「家族にあわせて週末は休みたい」といった人にはおすすめです。
ただし、学生が夜勤実習するときや、週末に講義や学校行事があるときには、夜間や休日でも出勤することがあります。
2.ライフスタイルにあった雇用条件を選びやすい
看護教員の雇用条件は求人によってさまざまで、自分のライフスタイルにあわせた雇用条件を選びやすいのが魅力です。看護教員の雇用形態には、正社員や派遣社員 、パートタイマーなどがあります。給与体系も月給制や時給制 、年俸制 があり、求人によります。
実習や演習のみを担当する教員として採用された場合には、「週1〜2日のみ勤務」「4〜8月までの勤務」といった働き方になることもあるでしょう。
私は主に実習指導を担当する教員だったため、実習がない期間は週2〜3日程度の出勤となり、夏休みや冬休みには学生と同じように長期休暇をとることができました。
3.看護に関する知識や技術を学び直せる
看護や医療に関する知識や技術を学び直せるのも、看護教員として働く魅力の一つです。私は講義や演習の手伝いをさせてもらいながら、看護理論や看護技術、フィジカルアセスメントを学生と一緒に学んでいました。
臨地実習では、学生たちが学内で学んできたことが基盤となるため、授業に参加しておくことで実習指導にもスムーズに取り組めます。お金をもらいながら自分自身も学べるのは、私にとって一挙両得でした。
4.自分の看護について振り返る機会になる
看護教員として、学生に看護のやりがいや楽しさを伝えることで、自分の看護観やこれまでの看護実践について振り返る機会に恵まれました。
とくに実習では、学生と一緒に担当患者さんに必要なケアを考えて実践し、その結果を一緒に振り返るということを一日に何度も行います。素直で柔軟な学生の発想から学ぶことはとても多く、学生と一緒に自分も成長することができたと感じています。
5.学生の成長した姿を間近で見られる
看護教員として働く醍醐味の一つだと感じているのが、自分が指導した学生たちの成長を間近で見守れることだと思っています。
1年生の実習では患者さんと上手く話せず泣いていた学生が、3年生になると自分で考えた看護計画をもとに素晴らしいケアを実践しているのを見たときには、胸が熱くなったのを覚えています。
実習先の病棟で卒業生と再会することもあり、指導した学生が看護師として立派に働いているのを見ることは、看護教員としてのやりがいにつながっていました。
このように、看護教員の仕事には、病院で働く看護師とは異なるやりがいや面白さがあります。
私は第二子の出産を機に看護教員の仕事を退職しましたが、学生指導を通して学んだ教育的な視点やスキルは、今の産業保健師の仕事にも活きていると感じています。
事前の準備が肝心、計画立てて進行できる人にぴったり
では、看護教員は実際にどんな職務を果たしているのでしょうか。看護教員の仕事は、学生の教育のほかに、学校運営や看護研究など多岐にわたります。
ここでは、私が主に担当していた仕事について紹介します。
講義のサポート
教授や外部講師が担当する講義が、スムーズに進むようサポートします。私は講義資料の準備や教室の手配、学生の出欠確認、講義課題のチェックを行っていました。
助手が講義を担当することはありませんでしたが、グループワークの際には学生同士のディスカッションが円滑に進むよう指導に入ることがありました。
技術演習のサポート
学内で行う技術演習のときには、臨地実習で学生が困ることのないよう、ケアの根拠や手順を丁寧に指導します。演習で使用する物品の準備や後片付け、演習室の整備、技術試験のサポートも担当していました。
臨地実習の指導
学生と一緒に実習先の病院や施設へ出向き、臨地実習指導者とともに学生の実習指導を行います。
受け持ち患者さんの選定や、実習指導者とのスケジュール調整、学生の技術指導、実習記録のチェックなど、自分が担当する実習グループに関わるさまざまな業務を担当していました。
講義でも演習でも実習でも、事前の準備を入念にしておくことが大切です。ものごとを計画立てて進めておくことが好きな人にとって、看護教員は適した仕事だと感じます。
とくに臨地実習では、1人で7〜8名の学生を受け持つことが多く、思いがけない事態が起こることもありました。
「予定していたケアが時間内に終わらない」「退院指導に必要な資料を忘れてきた」といった状況に対応するためにも、あらゆる事態を予測して、できることは事前に済ませておくことが大切です。
このほかにも健康診断や文化祭、看護研究のサポートを任されることがありました。
また、常勤の専任教員たちは、定期試験の準備や入試監督、学生の生活指導、国家試験への対策指導といった業務も担当していました。
看護教員になるには?求人に応募するときの注意点
看護教員になるためには、一定の条件を満たす必要があります。専任教員になるには、厚生労働省の規定では「保健師、助産師又は看護師として5年以上業務に従事していること」「必要な研修を修了していること」といった条件を満たす必要があります。
そのため、看護教員の求人募集を見ると、「看護師として5年以上の臨床経験があること」「看護教員養成講習会を修了した者」といった条件を設けていることが多いようです。
看護教員の求人に応募する際には、応募要項に書かれている「資格」や「応募条件」をチェックしておきましょう。
専任教員ではなく、実習のみの指導教員などの場合には、条件は比較的緩やかです。なかには、看護師免許があれば応募できる学校や、働きながら専任教員の資格取得を目指せる学校もあるため、自分にあう求人を探してみてくださいね。
まとめ:臨床経験を活かしてキャリアチェンジできる看護教員という働き方
看護教員は、看護師や准看護師などを目指す学生に、看護職になるための知識や技術を伝える仕事です。これまでの臨床経験を活かしてキャリアチェンジできることから、働き方を変えたい人や、病院以外の場所で働きたい人におすすめの職種です。
看護職としてのキャリアに悩んだら、看護教員という働き方を選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。