子連れでの離婚。働き方・お金・子どものこと…子連れで離婚するとなると、悩みは尽きません。
どれも大切にしたいけれど、すべてを満たす方法はなかなか見つからず、「もっとこうできたらいいのに」と悩む方も多いのではないでしょうか?
自身も2児のシングルマザーである高梨子あやのさんは、働き方を変えながらもお金を味方につけて、家族を守っています。
子連れ離婚専門のファイナンシャルナースとしての働き方について、詳しくお話を伺いました。
この記事はYouTubeの「ナース図鑑LIVEnow」のインタビュー動画をもとに、ナースLabのライターが作成しています。
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抑うつとネグレクトの罠
-ファイナンシャルプランナーとは、どんなお仕事なんですか?
ファイナンシャルプランナーは、主にお金についての相談サポートをします。
私は、子連れ離婚を考えている人たちに向けて、ライフプランニングとして資産形成をどうするか、働き方をどうしていくかというお金の面で損しないための準備についてお伝えしています。
離婚は未知の世界で、感情のもつれで辛い思いをする人が多いんです。
相談を受けて話を聞くと、それだけで喜んでもらえたり、手助けになって次のステップを踏めたりする人がいる。
そういう人たちを後押しできるというところにやりがいを感じます。私自身も自信につながり、生き生きと働くことができるんです。
-なぜ、ファイナンシャルプランナーとして起業しようと思ったのですか?
長男が1歳になり、育児短時間制度の期間が終了すると同時に、当たり前のように残業が増えて、多い時には月に80時間以上にもなりました。そうしているうちに、自分の体を壊してしまい、抑うつ状態になったんです。感情表現が乏しくなり、次第にネグレクト状態になっていきました。私自身がずっと小児科で働いていて、そういう実例を知ってたにも関わらず、まさか自分がそうなってしまったんです。
この実体験から、シングルとか関係なく、子どもが小さくても残業をしなければならない勤務状況である看護師が周りにも多かったので、何とかしたいと思ったのがきっかけでした。
お金も仕事も手に入れたい
-現在、高梨子さんはどのような働き方をしていますか?
ナースとして週に2回、デイサービスで4時間働いています。
それ以外は、セミナーの資料を作ったり、相談業務などをしたり、マルチタスクでやっています。
-マルチタスクで働いて、実際の暮らしは金銭的に辛くないですか?
収入は、最低限確保することができている状態での活動なので、収入が下がっても心配がない生活をしています。
生活コストを押さえて、普通に生活するとしても、月10万円あれば生活ができるんです。私の実家は、米農家なのでお米や野菜はもらえるのでとても助かっています。
また、使える制度として、児童扶養手当、ひとり親医療費助成制度、就学援助制度なども活用しています。
その他にも、パートとしての給与所得と、事業主としての事業所得があるので、経費や青色申告特別控除、給与所得控除などで所得を調整しています。お金のつながりを知っているかどうかで、100万円以上ほどの違いが出てくるんです。
-看護師の働き方の現状についてどう思いますか?
病棟では、正規雇用で頑張るかパートになるかという2パターンが主な働き方かと思います。外来やクリニック、派遣などの他の環境においても、選択肢は限られます。
従来の雇用形態の概念にとらわれずに、それぞれの都合の合う時間帯で働くなど、勤務時間の多様化が理想ではないかと思います。
このナース図鑑でもいろいろな働き方があることを知ってもらいたいです。
ナースの世界では、労働基準法や育児介護休業法に詳しい人は少なく感じます。自分で勉強して、この制度を使いたいと言っても、使えないと言われたことがあり、どうすれば使えるのか、書類を作ってもっていったこともありました。
医者はバイトができるけれど、ナースはNGなことが多いのが現状です。もし、働き方を変える、働く時間を短くするとなると、収入が下がる可能性があるので、家計を整えてこの収入でもやっていけるという自信がついてから、時間を変えたりすることが必要になってきます。
特に、ずっと正規雇用で働いてきたあとに働き方を変えたい時、どうやって収入を維持するのか。税金のこともわからないと不安ですよね。そのステップを踏んでいくことを長期的に戦略をたてて、サポートしていくことが必要だと思います。
ママナースに寄り添うファイナンシャルナース
-今後の目標は?
子連れ離婚した人の中でも特にママナースは、働き方で悩むことが多いので、働き方のサポートをしていきたいです。
長い目で考えたときには、ナース個人だけでなく、ナースが働く病院や施設、事業所と提携し、介入をしていきたいと考えています。そのためには、一緒に活動していくファイナンシャルナースを増やすことも必要だと思っています。
また、最近では副業をしたい、働き方を変えたいというナースも増えてきています。
新たに働き方を考える時、収入はどのように維持していくのか、税金はどうなるのかなど、これからの長期的な戦略を立ててステップを踏んでいけるようにサポートをしていきたいです。
勤務体制や業務内容など、ナースにしか理解できないこともあります。ナースがサポートすることで共感できたり、広い視野でのアドバイスができたりすると思うんです。副業をしながらでも病院で働き続けることができれば、ナースとしての経験を積むことができますし、雇う側としても人員の定着につながると思います。
インタビュアー:西山妙子
ライター:藤川恵美