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臨床経験3年で挑戦!スタッフを活かす管理者の道〜訪問看護ステーション管理者・齋藤透さん〜【ナース図鑑】

ナース図鑑スタッフを生かす管理者への道

臨床経験僅か3年で訪問看護管理者となった齋藤透さん。
管理者を目指して学んでいたわけではない彼がなぜ最速でステップアップできたのか。
そこには特別な経験の結果だけではない、彼の仕事に向き合う姿勢がありました
人に認められ、人に引き立てられる人はどこが違うのか。インタビューを通してその人間性と体験談をご紹介します。

目次

そもそも訪問看護を始める予定ではなかった!?

斎藤さんと利用者様

ー齋藤さんの現在の働き方について教えてください。

現在、板橋区にあるアップルパイ訪問看護ステーションの管理者をしています。週5日勤務、オンコール対応もしています。看護師6年目になります。その他、地域の高齢者の為の交流の場「スープいたばし」を運営しています。

ー在宅に興味があって始められたのですか。

いえいえ。初めはそんなことはなかったんです。卒業後に循環器科で3年臨床を経験して、その後どうしようかなと思って入った人材紹介会社がきっかけです。

ー人材紹介会社ですか?全く違う業種ですね。

コロナ禍で対面の機会が減ったことで人と繋がる機会がなくなってしまったでしょ。何か自分にできることはないかなと思って 人材紹介会社で看護学生さんの就活アドバイザーを始めたんです。いろいろな方の話をきくうちに、長所が活かせる場所との出会いをサポートすることへの興味が強くなり、結局人材紹介に転職しました。そこで多くの看護師や学生の就職先を考えたことが「人の長所を見つけて活かす」学びとなりました。

その後に、自社で訪問看護ステーション事業を行う話があがりました。自分も臨床現場に戻りたい気持ちもあったので、自社内での部署異動をする形をとり、立上げに参加したんです。立上げはスタッフとして参加しましたが、後の管理者候補として僕の名前が上がりました。

管理者に向いていた?自分でも気づかなかった自分の長所

斎藤さんと利用者様の笑顔

ー珍しい経歴ですね。流れにのったという感じだったんですか。

もちろん最初は「訪問看護の管理者をやってみないか」と提案されたことに驚きました。でも病院で働いていると、在宅で必要なケアが見えたり、訪問看護を広める必要性を感じるんですよね。どんな訪問看護ステーションにしてどう患者さんに向き合っていこうかはイメージしていたので、新たな役職に心理的な抵抗はありませんでした。

いずれ管理者として働いてほしいと打診された時は受け入れましたが、悩んでもいたんです。当時は、自分の能力を高めたいわゆる「できる看護師」になりたかったんです。1人で1000人力のエキスパート看護師を目指したかったんです。でも、その時の上司に「齋藤君は1000人力じゃなくて、1000人の看護師を率いる方が向いてると思うよ。」と言われました。

ー不思議なご縁で今の仕事に繋がったんですね。背中を押してくれる素敵な上司に恵まれたんですね。

その時は、上司の言葉に納得できなかったですけどね。実際に業務を始めると、すぐに上司の言いたいことがわかりました。1人でできることって限りがあるんです。肩に力を入れて1人で頑張るより、仲間を信頼して任せる方が効率も良いし、成果も上がります。皆の力を引き出す役割というとイメージしやすいかなと思います。

それで思い出したんですが、僕は昔から部活のキャプテンやまとめ役をすることが多かったんです。看護師から就活アドバイザー、人材派遣会社へと進んだのも、相手の良さを活かす働きをしたいと根底では思っていたんですよね。それで「1000人を率いる看護師」の方が自分に向いてるんだという言葉の意味が納得できました。

管理業務といっても任せる部分は任せています。地域高齢者の交流の場「スープいたばし」を運営しつつ、こうやってインタビューを受けたり、訪問看護を広げる営業活動もしながら運営している感じです。自分が頑張らなきゃいけないと気負ってはいないのでしんどくはないですね。

とにかく、まずはやってみる!

血圧測定をしている

ー今の自分の変化をどう思われていますか。

今の仕事は自分に合っていると思います。いつの間にか、昔自分がぼんやり思い描いていた「なりたい自分」になっていたという感覚があります。23.4歳の頃は「何者か」になりたいけれど、それが何なのか見えないような感じでした。迷走していたというか、何を目指してどの方向に進んでいけばよいかが分からず、イメージもできていなかったんです。どちらに行けばいいかわからなかったというか。

振り返ってみると「目の前にいる人を幸せにすること」に一生懸命になっている間に、ここに辿り着いたような気がします。管理者を目指したわけではないので、不思議だし面白いですよね。勉強は後からでもできるので「この人が幸せになる為に自分に何ができるだろう」という想いをずっと大切にしていけば、良い方向に進むと信じています。

サンタクロースの格好をする斎藤さん

ー齋藤さん自身も困っている学生を助けようとしたことがきっかけで、人材紹介会社に入ることになっていますよね。そこで自分の長所を見抜かれて現在の立場に繋がっていますよね。昔の斎藤さんのようにキャリアに迷っている方もいると思います。最後にメッセージをお願いします。

いろんな相談を受けますが、これだけは看護師さんに伝えたいということがふたつあります。

ひとつは、「現状に不満を言わずに全力で取り組むこと」です。頑張って仕事をしても対価が見合っていないと感じることって結構あるんです。かけた時間や労力ほどに支払われていないと感じたりすることもあります。勤務条件が厳しいと感じることもあります。でも全力で取り組んでいると、それは自分への評価だったり、仕事へのご縁だったり、仲間を得たりというお金で換算できない報酬が得られるんです。これはすごく大切だと思います。

そしてもうひとつが「とにかく行動する」です。チャンスの女神は一瞬で通り過ぎます。気付いた時には後ろ髪なんです。お話を聞いていると「え、今のはチャンスだったな」と感じる方が沢山いました。本当にもったいないです。悩む間に動くこと、とにかく与えて行動してほしいなと思います。僕も「助けたい」と思う気持ちで看護師とは全く違う人材紹介の世界に足を踏み入れました。そこには経験も実績もなく、ただ自分の決断と最初の一歩だけがあったんです。異動の相談も、昇進のチャンスも、悩みながらも一歩を決断してきました。待っていたら、他の人に話が行っていたかもしれません。それくらい瞬間の決断と一歩を踏みだすタイミングって急に来るんです。だから、興味があるなら、声がかかるなら、行動することを本当に伝えたいです。

まとめ:一歩踏み出した齋藤さんが導かれた天職

斎藤さんと利用者さんと犬の写真

看護師キャリアを歩んでいく中で生まれた興味に従って一歩踏み出した齋藤さん。結果天職へと導かれた体験談は、とても励まされるものでした。看護師の可能性にわくわくしながら、これからも人や仕事との出会いを通じて広がっていく世界を楽しみにしたいと思います。

齋藤透さんの詳細

「斎藤とおる」という服を着ている斎藤さん

認知症の患者さんが知らない人が家に入ってくると怖いと言ったから、見てすぐに名前が分かるように『齋藤Tシャツ』を着て毎日に訪問しています。

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この記事を書いた人

人を繋ぐ仕事を求めて教育や営業も経験した40代看護師。3児の母。重症心身障害児を育てながらの日常や転職の経験は人一倍。取得資格は看護師・保健師・養護教諭2種・公認心理師・整理収納アドバイザー1級など。

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