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訪問看護経験者が語る想像と違ったギャップ4選

訪問看護というと「一人で訪問して怖くないの?」と不安に思う看護師は多いのではないでしょうか。その不安から、訪問看護に興味があっても踏み出せない方もいると思います。では、本当に誰にも相談できない環境で看護しないといけないのでしょうか。その答えは、病棟勤務から訪問看護へ転職した筆者の実体験を通してお伝えします。他にも、在宅の世界で看護することを迷っているあなたに知ってほしい訪問看護のリアルが満載です。

目次

ギャップ①訪問は一人でも、困ったときにはすぐ助けてもらえた

訪問看護と聞くと、一人で訪問して看護するイメージですよね。確かに、一人で訪問し、利用者さんの状態に合わせた看護を考えなければいけません。では、判断に迷ったときはどうするのでしょうか。

入社したてのある日、私はこんな経験をしました。利用者さんの内服をセットするつもりで訪問したところ、利用者さんの息が荒く、明らかに体調が良くありません。内服セットだけで訪問を終了してはいけないと思った私は、上司に電話で相談をしました。上司にはすぐに電話が繋がり、対応方法の指示を受け、訪問は無事に終了しました。このように、訪問中に判断に迷った時は、誰かに相談することができます。また、訪問看護では利用者さんと年単位での長い付き合いとなることが多いので、「この利用者さんはこの方法が良い」と自信をもって看護することができるようになっていきます。私が入職前に感じていた一人訪問への不安は、経験を積むごとに解消されていきました。

ギャップ②ゆっくり/じっくりだけじゃない!

■処置に準備に大忙しの訪問

訪問看護では、一人の利用者さんに集中して看護することができます。
しかし、訪問時間は、60分や90分と保険制度によって決められているため、すべての利用者さんにゆっくりと介入できるとは限りません。例えば、浣腸処置と入浴介助を目的とした90分訪問の場合、バイタルサインを測定したらすぐに浣腸をします。排便を待っている間に、お湯を入れ、浴室の環境を整え、着替えを準備します。訪問中にしっかりと排便があるように腹部マッサージをし、排便が終了したら入浴介助を開始します。ここまでを30分~45分以内に終わらせないと90分では収まりません。息つく間もなくせわしない訪問であることがおわかりいただけたでしょうか。その中で利用者さんとゆっくりと関わる時間を確保するために、その他の作業をスムーズに実施できるように日々努力しています。利用者さんとゆっくりとお話できる訪問もありますが、そればかりではないのが訪問の実情です。

■訪問は体力勝負

訪問看護では、1日5〜6件程度の訪問をします。この訪問と訪問の間にある移動は、意外と体力を消耗します。病棟勤務も忙しく動き回っていますが、屋外での移動の疲労感は別格です。また、入浴介助の訪問では、冬でも汗だくになりながら看護をします。外に出た瞬間に汗で余計に「寒い」と感じるのはお決まりです。では、「体力がないと訪問看護ができない」というわけではありません。病院と違う環境に身体も徐々に慣れていきます。また、施設内訪問看護では、屋内での看護となるため身体への負担は少なく訪問看護ができますよ。

ギャップ③限られた環境・物品での看護

自宅には病院のように医療を提供しやすい物品は揃っていません
点滴棒はないので、ハンガーに点滴ボトルを吊るします。洗浄用のボトルは、ペットボトルのキャップに小さな穴を何個も空けて代用します。他にもバケツやお湯・タオルなど自宅にある物を使用して看護をします。そのため、病院以上に無駄遣いは禁物です。
また、往診医から処方されている衛生用品も数が限られています。5日間点滴が必要な場合は、5日分の点滴セットと予備1セットしか処方されないので、ルート確保に失敗できないというプレッシャーを病棟勤務のときより強く感じます。できるだけお金をかけずに看護をするアイデアと、物を大切に扱う気持ちが訪問看護には必要です。

ギャップ④看護師の私も営業活動!?

訪問看護ステーションでは利用者がいなければ事業が成り立ちません。そのため、看護師も営業活動をして利用者獲得を積極的に行うこともあります。

営業内容は、病院や居宅介護事業所にパンフレットを使って挨拶回りをしたり、報告書を直接持って行くときに事業所の空き状況を伝えたりと、営業経験のない看護師でも実践できそうな内容です。でも、営業活動はしたくないという方もいるのではないのでしょうか。その場合は、業務内容に営業活動がない、もしくは少ない訪問看護ステーションを選ぶことをおすすめします。私自身も面接時に営業活動の有無を確認して入職しました。また、営業というと難しく感じるかもしれませんが、各事業所への挨拶回りは多職種連携をスムーズにするためにも有効ですよ。

訪問看護経験者が語る想像と違ったギャップについてのまとめ

みなさんが訪問看護に抱いていたイメージとは違うところはありましたか?

どんな天候の日でもどんな場所でも、一人で訪問するのが訪問看護です。そのため、辛いと感じることもあります。しかし、利用者さんとその家族と長く深く関わり、その人一人だけに時間をかけて看護できるところは訪問看護の醍醐味です。看護の方法で悩んだときは、病院と同じように一人では抱え込まずに周りに相談して乗り越えていけるので、少しでも訪問看護に興味のある方は、ぜひ挑戦してみて下さい。

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この記事を書いた人

看護師・保健師。大学を卒業後、総合病院で勤務し、呼吸器内科・婦人科・小児科・訪問看護を経験。現在は、自身の治療のため休職中。今後は自分を大切にしながら仕事と治療の両立を目指している。モットーは「私と関わる全ての人、そして私自身も笑って過ごせるような看護をすること」

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