「育児休業を取る男性を増やしたい」
そう語るのは、自身も二児の父である茂木さん。看護師として働きながら、所属する病院で初めて、男性職員の育児休業取得を経験しました。
看護部や人事部を直接説得して、ようやく取得できたそうです。
この記事では、育児休業を取得するまでに茂木さんが実践したことをご紹介します。
育児休業を考える男性はもちろん、パートナーに取得して欲しいと考える女性にとっても参考にできる内容です。
この記事はYouTubeの「ナース図鑑LIVEnow」のインタビュー動画をもとに、ナースLabのライターが作成しています。
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さまざまな経験、そして男女問題への興味へ
ー今までどんな働き方をされていますか?
二人目の育児休業を取得しながら、病院の手術室で働いています。
みなさんあまり知らないと思いますが、育児休業中でも働けるんですよ。育児休業でお金がもらえるのは基本的に1年間で、もともともらっていた給料の67%、それ以降は50%と決められています。
支給を受けながらでも働くことはできますが、もともとの給料のいくらまで、月に働くのは何回まで、という決まりがあるので注意が必要ですね。
支給を受けながらでも働くことはできますが、総支給の不定期でなおかつ時間数や回数などの制限があるので注意が必要ですね。
※育児休業について詳しく知りたい方は、厚生労働省のサイトを見てみてくださいね。
育児休業中の就労について 厚生労働省HP
Q&A~育児休業給付~
ー看護師としてどんな経験をしてきましたか?
高校で準看護師の資格を取得してから、正看護師の資格を取得するために夜間定時制の学校へ通いました。正看護師になってから1年半は看護師として働きましたが、ニュージーランドに行きました。大学時代にハマったスノーボードを、南半球でしてみたい!と思ったんです。
ニュージーランドでの生活が終わって帰国して、また日本で看護師の仕事を探し始めました。でもどこに行っても「3年の実務経験」が必要と言われるので、派遣として有料老人ホームなどに勤めながら、実務経験を積んだんですよ。その後は、応援ナースとして配属されていた病棟に正職員として就職して、今にいたります。
今までに看護師以外でも、ラフティングなどアウトドアの仕事をしていたこともあるんですよ。
ー看護師として働きながら、なぜ育児休業を取得しようと思ったのですか?
働いているうちに、社会問題、特に男女問題に興味を持つようになったんです。調べていくうちに自分が育児休業取れるんじゃないかと思い始めて、育児休業取るというモチベーションになりました。そこからはどうすれば育児休業を取れるかを考えて取り組んできました。
院内の男性職員初!育児休業取得までの奮闘記
ー病院の男性で初めて育児休業を取得するのに、大変なことはありましたか?
育児休業給付金を出す職業安定所に聞いても、そういったケースがないから分かりませんと言われることがありました。
でも自分で調べてみると、これといった決まりはないんですよ。厚労省が出しているガイドラインがあるんですが、それを役所の人が解釈して企業や相談者に当てはめるって感じなんですね。
だから僕はそのガイドラインを自分で解釈をして、職業安定所の人に相談しながら総務課長や看護部長に直接伝えに行ったんです。看護部長は詳しくは知らないという感じで、反対されることはなく「分からないから何かまた教えて」と言われました。
病院の制度としては育児休業の取得が可能だと分かったので、次は職場の人たちへの説明です。
全員に理解してもらうことは難しいと思っていましたが、やはり理解してくれない人もいました。でもそれはしょうがないとしました。
ー育児休業中の収入はどうですか?
フルタイムの時から考えると年間100万円減という感じですね。
僕の場合は大体500万円で、税金引かれた後は手取りで380万円くらい。育児休業中は非課税で手取り240万円くらいですね。
ただこれは考え方だと思っていて、毎日働いての380万円を取るか、仕事だけでなく家族と過ごす時間を持てる240万円のどちらを取るかだと思っています。
ー茂木さんの後に、育児休業を取得した男性職員はいますか?
男性看護師ではありませんが、二人目のお子さんを出産した薬剤師さんが取得しました。その時は育児休業中のことについて相談されましたね。
ただ僕としては、今後も男性の育児休業取得率はあまり増えないんじゃないかなと思っています。
男性の育児参入や育児休業を取るかどうかは、その人がどういう環境で育ったのかという価値観に影響を受けると思うんですね。そう考えると、まだまだ男は働いて女は育児をするという考えが多いのかなと思っています。
育児休業を取得して感じたメリット、デメリット
ー実際に育児休業を取得してどうでしたか?
メリットは、育児という共同作業をする事で夫婦の関係性が良くなることです。
デメリットは、教育方針のズレや生活リズムの変化でぶつかる時があることですね。お互いが良い形にするために、育児についてどう考えるのか?自分がどう育てられたか?などをそのタイミングで話し合っていました。
今後の展望
ー今後はどんな活動をしていきたいですか?
育児休業を取る男性を増やしたいですね。そのためには育児休業を取ることによるメリット、デメリットではなく、育児休業を取らない事によるメリット、デメリットと伝えていきたいです。この言い方のほうがモチベーションが高まると思うんです。
家族の価値観を共有するために、男性の育児休業は必要だと思います。男性も育児に関わる時代になってきたけど、経験しないと分からない。
今後は男性看護師同士で、育児休業だけでなく、子育ての話もしたいと考えています。
茂木さんのnote記事はこちらをご覧ください。
インタビュアー:西山妙子
ライター:野中翔太