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「看護師×保護犬」で起業を!ペットと過ごせるグループホームで社会貢献【ナース図鑑】

保護犬と笑う看護師

場所や施設、勤務形態など、多くの働き方を選べる看護師。

その働き方の1つとして、起業という選択肢があることをご存じでしょうか?

起業することで、看護の知識や経験をもとに自分の夢やアイデアを実現することが可能です。

今回インタビューしたのは、保護犬と障がいのある方々が一緒に暮らせるグループホームを運営するヘルスプロダクト株式会社代表取締役の近藤繭(こんどうまゆ)さん

「大好きな動物のため、人のために自分にできることはないだろうか」

10年悩み続けてようやくたどり着いた、近藤さんの想いと実現までの道のりをご紹介します。

笑顔の女性看護師

この記事はYouTubeの「ナース図鑑LIVEnow」のインタビュー動画をもとに、ナースLabのライターが作成しています。
動画を見たい方は「再生ボタン▶」をクリック!

目次

保護犬と一緒に暮らせる生活の支援

ー現在どのような働き方をされていますか?

保護犬(以下、犬)と障がいのある方々が一緒に暮らせるグループホーム「ホームわんこ」(以下、ホーム)を運営しながら看護師として働いています。2年前に会社を立ち上げ、ホームを開設しました。

利用者さんが地域で安心した生活を送れるように、さまざまな支援方法を考えるのが私たちのお仕事です。ホームでは保護犬を受け入れており、犬と利用者さんが一緒に暮らせるようになっています。

一匹でも多くの犬を救いながら利用者さんの自立を支えられるように、スタッフ15名と協力しながら試行錯誤しているところです。

犬がくれる癒しと笑顔

保護犬の顔を触る看護師

ー犬と利用者さんが一緒に暮らすことの魅力はなんですか?

なんと言ってもみんなに笑顔をもたらしてくれることですね。基本的に犬好きの方がホームに入所されるので、犬を見るだけでうれしく思われる方ばかりなんです。抱きあげる時にはもっと笑顔になるんですよ。

利用者さんが精神的に不安定な時でも、私たちの前とは違った笑顔を犬の前で見せることがあります。これをアニマルセラピー効果といいますが、犬との触れ合いが利用者さんに癒しの効果をもたらしているのだなと実感しています。

ー他にもいいことはありますか?

利用者さんはただ一緒に過ごすだけでなく、犬のお世話もしているんです。お散歩をしたり、ご飯をあげたり。

利用者さんの生活には、誰かの介助を必要とする場面が多いかもしれません。しかしホームでは「自ら犬のお世話をする」という経験をすることで、思いやりの気持ちがもっと強くなっていきます。

いい意味で利用者さんも変化していくのを感じますね。もちろん私たちスタッフも毎日癒されています。大好きな犬と一緒に働けるのが幸せですね。

「動物と関わる仕事がしたい」思いを温め続けた10年間

ーいまの事業を始めるきっかけは何ですか?

小さい頃からたくさんの動物に囲まれて育ったので、動物が大好きなんです。将来は動物に関わる仕事をしたいという気持ちがずっとありました。

大学生の頃から動物のためのボランティア活動はしていたのですが、自分にしっくりくる仕事が見つからなくて。

看護師に憧れていた自分もいたので、動物に関わりたいという想いを残しつつ看護師として病院で働く道に進みました。

ーどこで看護師から今の働き方変わったんですか?

10年くらいずっと「看護師と動物…両方を掛け合わせるものはないだろうか?」と悩んでいました。

自分のやりたいことはあるのに、具体的にどのようにカタチにしたらよいのかわからなくて。ひたすらネットサーフィンをして、ヒントを探し続けていましたね。常に、ずっとです。

ある日インターネットで、障がい者の方々と保護犬が一緒に暮らしている施設があることを知ったんです。当初は日本でも数少ない事業だったので、見つけた時は「これだ!これができたらもうなにもいらない!」と思いました。

看護師の知識を活かしながら動物のための活動をしたかった私にとって、これ以上のお仕事はありません。この事業に携わるために、ついに自分も動き出そうと思いました。

それが「ホームわんこ」としての挑戦の始まりです。

経営者としての苦労

ーどのように起業していったのですか?

事業の立ち上げなんて人生で初めてのことなので、本当にわからないことだらけ。ちゃんと計画通り進められるのだろうか、という強い不安がありました。

看護師として働きながら起業の準備をしていたのもあり、とにかく勉強する時間は足りなかったですね。毎日いろいろなことが進行していくので、本当になんとか1日ずつを乗り切っている感じでした。

わからないところはその都度調べて、どんどん掘り下げて、人に聞いて…の繰り返しです。

ースタートから順調でしたか?

「ホームわんこ」を開設してからも、最初は思い描いたようにはいかなくて。それでも日々勉強をして、ひたすら改善、改善、改善です。

私たちの会社は規模が小さいので、すぐに方針の転換ができると思っています。その特性を生かして、少しずつ前進しながら理想のカタチを目指しました。

ー起業して変わったことは?

看護師だけをやっていた頃は、組織の一員としてどのような立ち回りが求められるのかという視点で働いていました。でも起業をしたことで、利用者さんをはじめ犬やスタッフなど、経営者として守るものが増えたと感じています。

「ホームわんこ」は、関西初の事業として取り組んでいるものです。今は、自分でできる精一杯のことを、毎日重ねていくしかないですね。大変ですがとても充実した日々を送っています。

「ずっとやりたかったことができている!」という気持ちがあるからこそ、おごらず、気を抜かず、着実に取り組めていると思っています。

人にとっても、犬にとっても良い社会をつくる

車椅子に乗った高齢の女性と介助犬

ー今後はどのようなことをしていきたいですか?

会社の理念である「ペットとの生活を通じてノーマライゼーション社会の実現に貢献する」という活動を進めたいと思っています。

ノーマライゼーションというのは、障害のある人もない人も、共に生き生きと活動できる社会をつくることです。今後は受け入れる保護犬をもっと増やしていくことも考えています。

今はやっと基盤ができた状態なのですが、そうなると「次はこうしたい、もっとこうしたい」と欲が出てしまいますね。

新しくしたいことに向かって、どう動いたらよいのかは考え中です。常に試行錯誤しながら進んでいきたいと思っています。

夢はどんなことにも負けない力!

ー近藤さんの活動を通して、皆さんに伝えたいことはありますか?

私は保護犬と看護師というところに重きを置きたかったので、こういった形を選びました。ただやりたいことや興味があることは、人によって違うと思います。

そのやりたいことや興味があることに向かって、人生悔いがないように一生懸命がんばっていたら、必ずいいことが待っていると思っています。

私はこれからも、いろんな壁にぶち当たり続けるでしょう。それでも自分の好きなことをやり続けるので、みなさんもがんばって欲しいと思います。

インタビュアー:松井英子

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この記事を書いた人

神奈川県在住の看護師ライター。慶應義塾大学卒業後、がんセンター(血液内科)、自律神経失調症専門クリニックを経験する。脳脊髄液減少症を患い、フリーランスの道へ。現在は執筆をメインに活動中。

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