働き方の変え方

「看護師✕起業」で日本の介護を世界に!【ナース図鑑】

長谷川優さんの画像

東京オリンピックでも話題となった、日本の「おもてなし文化」
この文化に裏打ちされた看護や介護にも、世界から注目が集まっています。

「外国人に正しい介護を教え、看護師として知っているすべてを注ぎ込みたい」と起業したのが、「合同会社YOU」代表の長谷川優さん
日本の介護人材不足という課題の解決も目指しています。

看護師として、海外の若者の夢を支える長谷川さんの歩みと、活動を紹介します。

この記事はYouTubeの「ナース図鑑LIVEnow」のインタビュー動画をもとに、ナースLabのライターが作成しています。
動画を見たい方は「再生ボタン▶」をクリック!

離島での看護、海外ボランティアを経験

海外の教え子との写真

-看護師としてのキャリアを教えてください。

看護師歴18年です。最初は、急性期、慢性期で目まぐるしく働きました。
その後、災害地や離島(沖縄)の応援ナースに。人の温かみにとても癒やされました。医療レベルは都心に比べると落ちますが、いい勉強になりましたね。
様々な出会いに刺激を受け、学びを重ねるうちに、海外ボランティアも経験したんです。
そこで、大好きな看護師の仕事を通じ、何かをしたくなりました

インドで知った日本の看護・介護の価値

授業の風景

-現在の事業を始めたきっかけを教えてください。

約10年前、初の海外旅行でインドを訪れました。貧富の差が激しい国で、親に捨てられ、身寄りのないストリートチルドレンや、食事がままならない人々が珍しくありません。
そんな子どもたちや、余命わずかな人々が過ごす「マザーハウス」でボランティアを経験しました。自分の悩みがとても小さいものに思えて、生き方を改める機会となりました。

特に、日本の医療・介護レベルとの隔たりは衝撃的でした。
「私たちには当たり前のことが、介護の『か』の字もないような国もあるんだ」と。貧困で教育が受けられず、外の世界を知ることすら叶わない人々に対し、「日本の看護師として、知っているすべてを注ぎ込みたい」と、心が動きました。

-起業までに、どんな準備をしたのですか。

ミャンマー旅行の際に日本語学校、介護学校、看護学校を見学し、日本の介護教育へのニーズを実感しました。帰国後、日本で情報収集し、2019年に会社を設立。ミャンマーで介護を教える人材育成事業を始めました。

日本では看護師は介護業務も当たり前ですよね。でも、世界では、介護士と看護師の仕事は明確に区別されている国が多いんです。
だから、日本の看護師が医療的目線で介護することが尊敬され、優れた介護教育の担い手として受け止められています。

それぞれの文化を踏まえ、介護を指導

指導中の写真

-日本の価値で世界を変えていくんですね。どんな事業を行っていますか。

 外国人が日本で働く代表的な在留資格と制度として、2つあります。

  1. 開発途上地域などの人々に、介護など14分野で日本の知識や技術を習得し、母国で役立ててもらうという技能実習生。
  2. 様々が職種の深刻化する人手不足に対応出来るよう、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく特定技能です。

  コロナ禍以前は、現地で介護講師として入り、技能実習生を育成しておりました。現在は、他国の出入りが禁止になった中、日本で特定技能の試験対策を計画し、オンラインコースを開催しております。就職先のサポートやその後のフォローなどもしています。

オンラインクラス

  受講生たちは、ひらがなと漢字が少し使えるレベル。
介護の専門用語を小学生レベルのやさしい日本語で解説します。入浴一つをとっても、そもそも湯船につかる概念がない国があるなど、日本の当たり前が通用しないことも。文化を踏まえながら指導しています。

オンラインでの授業

受講生と「夢ノート」を共有して

長谷川さんの画像

-どんな時にやりがいを感じますか。

仏教徒が約9割を占めるミャンマーの人々は、人への奉仕が来世にいきると深く信じています。「日本で働いて仕送りし、家族のために働こう」と学ぶ受講生たち。ピュアで、今を精一杯生きようとするその姿勢に、胸が熱くなります。

受講生がどんな思いで日本に来たいのかを知りたくて、指導前に「夢ノート」を書いてもらっています。

ある受講生は「夢は介護施設の施設長になること。介護技術を学んでミャンマーに持ち帰り、施設を作りたい」と記しました。

これまで、ミャンマーの他、スリランカ、ベトナム、ネパールの4カ国30人に教え、うち25人が特定技能試験に合格しました。合格後、介護施設で活躍する姿を見ると、やりがいを感じます。

日本の医療で世界を笑顔にしたい

血圧測定

-長谷川さんご自身はどんな夢を持っていますか。

夢は、日本の介護現場で働きたい外国人をサポートし、介護人材の不足を解消することです。

今、コロナ禍もあり、施設での外国人の受け入れが難しい現実があります。人種や国籍、第二次世界大戦などの歴史的経緯から、受け入れがたいと感じる入居者もいて、介護業界には日本人の介護士を求める雰囲気があります。

しかし、人材不足で現場は疲弊しています。私は指導を通じて、人種・国籍を問わず、学ぶ人々のひたむきさ、素直さを感じてきました。外国人が介護現場にいると、人間関係や雰囲気に明るい変化がもたらされる。もう少し門戸が拡がればと思います。

私たちの活動は「日本の医療で、世界をもっと笑顔に、もっと自由に」がコンセプトです。「きつい・汚い・危険」という、いわゆる3Kのイメージが強い介護を、面白く、楽しく変えていきたいです。

「壁にぶつかっても、また1歩」を重ねる

-新たな道を切り開きたい看護師に、メッセージをお願いします。

とにかく、「これをやりたい」と思ったら周りの人に話す。
動きながら、壁にたくさんぶち当たってもがく。そこで周りの意見を採り入れ、また一歩動く。それを繰り返しているうちに、なりたい夢に近づけるのではないでしょうか。

新たな道の開拓は山あり谷ありですが、看護師免許を武器に、ぜひ楽しんでほしいです。

面白い看護師がもっと増えればいいですね。

長谷川さんのnote記事はこちらをご覧ください。

インタビュアー:斎藤利江
ライター:michi

ABOUT ME
michi
長年の新聞記者生活を経て、看護師・保健師になった遠回りナース。大学病院、訪問看護の後、再び病棟勤務中。2児の母。夢は、誰でも立ち寄れ、ほっこりできる駄菓子屋カフェを開くこと。