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介護美容セラピスト×看護師からの贈りもので高齢者に元気と笑顔を!【ナース図鑑】

介護美容セラピストの塩屋智子さん

人生100年時代と言われるこの社会、多くの人がいつまでも若々しく元気でいたいと考えるのではないでしょうか。

身体や心を変化させる加齢は、時に自分らしく過ごすことを難しくさせてしまうもの。

年齢を重ねてもその人らしく生きるための支援として、美容とタッチング(触れること)を使った「介護美容セラピー」が最近注目されています。

今回は高齢者の元気と笑顔を引き出すために、介護美容セラピストとして活躍する塩屋智子(しおやともこ)さんをご紹介します。

笑顔の女性看護師

この記事はYouTubeの「ナース図鑑LIVEnow」のインタビュー動画をもとに、ナースLabのライターが作成しています。
動画を見たい方は「再生ボタン▶」をクリック!

目次

看護師から介護美容セラピストに

ーどんな活動をされているのですか?

東京都大田区を中心に、介護美容セラピストとして活動しています。「ともちゃん」と呼ばれることが多いですね。

兵庫県出身で大阪の総合病院で働いた後、東京で抗加齢療法という「健康な人が、さらに健康的に長生きすること」を目指す予防医学を学びました。よく聞くアンチエイジングのことですね。

そして2020年春から、介護美容セラピストとして活動を始めました。

−介護美容セラピストとは、どのようなお仕事ですか?

病院や施設、在宅で過ごされている高齢者へ、手・足のマッサージやメイク、スキンケアなどを行っています。

美容で見た目を整えることで健康を促す、心と身体の美容療法と言われているんですよ。「高齢者向けエステ」という表現の方がわかりやすいですね。

介護美容セラピーの効果に、ストレス緩和やリラクゼーションがあります。肌に触れ、温もりが伝わり安心感が得られるんです。

介護美容セラピーの施術風景

-どのような場所で活動をされていますか?

現在、活動の多くはデイサービスです。介護美容セラピーの仕事をしつつ、老人ホームのお手伝いをしているという働き方ですね。

他には、区のシニアステーションやオレンジカフェへの出張もしています。

オレンジカフェは、認知症の方やその家族、地域の方がお茶などを飲みながら情報交換や交流を楽しむ場のことです。

−介護美容セラピストの1日の流れを教えて下さい。

施設でお仕事の場合、午前中はレクリエーションや入浴のため午後1時〜2時頃にお邪魔しています。そこからハンドケアなどのセラピーを提供します。

その後は利用者さんが帰宅されるまで一緒にお話をし、お見送りしてお仕事が終わる、というのが1日の流れです。

インタビュー後「フットケア&フェイシャルエステサロンMIRUS」を2020年1月11日にオープンされています。

介護美容セラピストになる前の看護師は心苦しかった

−看護師としての経歴を教えて下さい。

看護学校を卒業し、大阪の総合病院で4年間勤務しました。配属は循環器内科・HCUでした。その後は、抗加齢療法の専門クリニックで2年働き、現在に至ります。

-病院での仕事はどうでしたか?

循環器内科・HCU病棟には、治療で点滴や人工呼吸器など機械類に繋がれた患者さんが多くいらっしゃいました。

苦痛な治療を受ける患者さんを看ていて、病気により入院加療を受けるまでに予防はできないのかと考えるようになりましたね。

好きな美容で看護師から介護美容へキャリアアップ

−介護美容セラピストへ進むきっかけは?

美容に興味を持っていたことが1番の理由ですが、病院で働いていた時に苦痛な治療を受ける患者さんを見ていたのも大きかったですね。

病院で業務に追われ、患者さんの心のケアまで充分にできず、すごく心苦しく感じていたんです。

その頃はずっと「患者さんにゆっくり寄り添った関わりがしたい」「入院生活でも笑顔で安心感を持って治療を受けてもらいたい」と考えていました。

このような思いで好きな美容と看護が繋げられないかと模索していたところ、ちょうど良いタイミングで介護美容セラピーに出会ったんです。その時に「私が本当にやりたかったケアはこれだ!」と閃きましたね。

-どうしたら介護美容セラピストになれるのですか?

私は一般社団法人介護美容セラピスト協会が開催している講義を受けました。協会の試験があって、合格するとビューティータッチセラピストとして認定されて活動できるようになるんです。

休日を使い、高齢者について知識とお肌のケア方法、セラピーに関する技術を勉強していましたね。

−働き方を変えることに不安はありませんでしたか?

今までと全く違う領域へ移るということは、不安が大きくありました。でも同時に、病院の夜勤生活を10年、20年後も体力的に続けるのは難しいと悩んでもいたんです。

この悩みが、キャリアチェンジを後押しするきっかけの1つになりました。

介護美容アンチエイジングの可能性を感じて

ハンドマッサージをしている

−介護美容セラピストになってから、どんなことがありましたか?

「病気にならないよう生活習慣を整え予防し、健康を維持する」という予防医学を勉強する中で、80歳、90歳代まで元気に過ごす方々にたくさん出会いました。

普段の食生活や運動を意識することで、防げる病気もあるんですよ。予防医学を使って、もっと健康的に生活できる方を増やしたいと思っています。

−介護美容セラピーの魅力は?

初めてセラピーを受ける方がいたんですが、最初に「もう歳だからやらなくていいわ」と言われたんですね。でもセラピーを始めるうちに、何度も「気持ちいいね」と言って、最終的に私の手をマッサージしてくださったことがあったんです。

また認知症の女性へ、顔から首までのフェイシャルマッサージとお肌のケアを行った時には、眉間にシワ寄せる程のかたい表情がとても柔らかい表情になりました。さらにメイクをすると、笑顔が見られ、同時に話す言葉も増えたんです。

このような実体験から、介護美容セラピーは高齢者の元気や笑顔に繋がると感じています。今後もずっと続けていきたい、と強く思いましたね。

高齢者へ美容の魔法をプレゼント

−今後のビジョンを教えて下さい。

介護美容セラピーの必要性は、まだあまり認知されていないのが現状です。年齢に関わらず、まずはこの素晴らしい介護美容セラピーの魅力を知って頂きたいと考えています。

今は施設での活動が多いですが、病院や在宅で過ごす高齢者にもこの介護美容セラピーを届けたいですね。そしてより自分らしく、活き活きとした健康な生活が送れるよう活動を広めていきたいです。

インタビュアー:斎藤利江

ライター:三橋 啓子

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この記事を書いた人

北海道出身。看護師経験14年目。消化器・泌尿器・耳鼻咽喉の外科で働く。癌患者との関わりが多く一般病棟、ホスピスで緩和ケアを経験。2014年〜2015年フィンランドで国際ボランティアに参加。ホリスティクな視点で人を看るアントロポゾフィー看護と出会い興味を持つ。帰国後、リハビリ特化型ディサービスで所長として立ち上げに参加。地域連携の魅力を感じ、2019年に訪問看護の道へ。地域でホリスティックケアを提供することを目標に訪問看護で現在学んでいる。ブログ「原付バイクで街駆け巡りナース」で訪問看護奮闘の日々をリアルに発信中。

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