今回紹介するのは、看護師であり、医学博士 。
そして、YouTuberとしても活躍しているJIROさんです。
「オンライン看護学院Haru&Jiro」というチャンネルで、新人看護師や看護学生向けに勉強や看護に役立つ動画を配信しています。
新しいことにチャレンジしつづけるJIROさんに、大学院で勉強しようと思った理由や今後の展望について詳しく聞きました。
この記事はYouTubeの「ナース図鑑LIVEnow」のインタビュー動画をもとに、ナースLabのライターが作成しています。
動画を見たい方は「再生ボタン▶」をクリック!
ステップアップを目指し大学院進学
-なぜ大学院へ進学しようと思ったのですか?
新卒から3年間総合病院のCCUに勤務していました。病院勤務をしていて、1年目は看護師として伸びている実感がありました。2年目、3年目と看護師を続ける中で伸びている実感がなく悩むことに。これから何を学んでいけば良いのだろうと迷いました。
「僕はここにいて良いのかな?」「これからさらに伸びることはできるのかな?」といった気持ちが膨らみ、ステップアップを目指し大学院に進みました。
-大学院で何を研究されていたのですか?
修士・博士課程を通して「基礎医学」で、薬剤や動物を使った研究をしていました。
集中治療は本当に身体のことを理解していないとできないケアもあります。身体についてしっかり学べるのは何かと考えた時に、DNAやRNAまで踏み込んだ研究をやれば知識が身につくかなと思いました。
一方で、もともと人の性格を観察することが好きで、もしかすると、せん妄発症と性格が何か関係しているのではないかと考え、博士課程ではこの研究もしていました。
臨床で働く中で 、例えば先輩看護師が「この患者さん、せん妄になりそうだな。」って言ったら本当にせん妄が出現するという看護師の直感みたいなものが面白いなと感じていて。
せん妄が起こることを予測できるのは、ただの直感なのかそれともエビデンスに基づくものなのか疑問に思って研究しようと思いました。
術前の患者さんに性格チェックをして、せん妄の発症率や期間を調べました。この研究で、性格とせん妄発症の関連性を発見しました。
ノリで始めたオンライン看護学院Haru&Jiro
-オンライン看護学院Haru&Jiroをはじめたきっかけはなんですか?
情報発信の方法として、今までは学会などで講演などしてきました。でも講演だと、発信できる相手が講演参加者に限られると思いませんか。
自分の発信したいことが、もっと多くの人の目に気軽に留まる方法はないかと考えていたときに、YouTubeを思いつきました。
同じ大学院の研究室で一緒だった看護師のHARUさんも同じ考えを持っていて、一緒にYouTubeをやってみようということになり、「オンライン看護学院Haru&Jiro」の配信を始めました。一緒に活動しているHARUさんは1つ上の先輩です。彼も僕と同じで3年臨床で働き、働きながら大学院に行っていました。
YouTubeを選んだ理由は、すでにYouTubeがSNSの一部になっていると感じたからです。今、YouTubeはSNSという印象はないかもしれません。
でも、この先TikTokのように映像媒体がSNSの一部になり、そこに広告がつく世の中になると思っています。
-どんな風にYouTubeを作っているのですか?
僕たちは、互いに意見を出し合って一緒に構成を考えるということはしていません。
それぞれが「次◯◯やります」という感じで発言して、やり始める感じです。
同じ研究室で講演依頼を受けていたときも、お互い本番まではそれぞれ何を発表するかは詳しく知らないという状況でした。最初のうちはお互いライバル視していたのだと思います。負けたくないという気持ちがあったのだと思うのですが。
ずっとそのような感じでやっているうちに、相手だったら次こういう形で来るのだろうなとわかるようになってきました。たとえるなら、ずっと同じ人と将棋を1000回やる感じでしょうか。
じっくり話し合わなくてもおおよそ相手の出方がわかるし、きっと面白いことをするだろうなとも思っているので、あえて口出しすることもありません。
–どのようなことを発信されているのですか?
病態生理や薬理学についてわかりやすく解説しています。ほかには、論文をベースにした臨床で役立つ知識なども紹介しています。今まで看護師の厳しい働き方や心理的につらくてやめていく人をたくさんみてきました。
もっと楽しく働いてもいいのではないかと思い、そのようなことをテーマにYouTubeで発信しています。
JIROさんが運営するYouTubeチャンネルはこちらです!
ハルジローのオンライン看護学院
現場に必要とされる研究を目指して
-どのような研究がしたいと考えていますか?
僕は、みんなに評価されるべき研究をしたいと思っています。
自分がすごい研究だと思ってもそれが人に伝わらなければ意味がないと感じていて。しかし、良い研究をしたとしても、それが現場に届かないのが実情です。
研究者同士で評価をすることはありますが、現場の人たちが、その研究をどう評価しているのかということが見えにくいと思うのです。
研究をするためには研究費用が必要で、研究を知ってもらうために、例えばクラウドファンディングで研究費を募ることもひとつの方法ではないかなと。
そして、現場の人からの「こんな研究あったら良いな。」という意見をもとに、現場の人に評価される研究をしたいと思っています。
研究結果を現場の人とシェアできたらどんなに素晴らしいでしょうか。
どれだけ社会にインパクトを与え、どれだけ社会が必要とする研究ができるかということがポイントだと僕は考えています。
YouTubeは研究の一環という認識です。
僕にとっては、YouTubeも研究もそれぞれ別々のものではなく、二つつなげてより良いものにしていきたいという気持ちで。
生の現場のデータを解析して、どうエビデンスに導いていくかがこの先の看護に求められると考えています。
科学の力、エビデンスそしてノリで看護師をハッピーにしたいですね。
看護を楽しいものにするために
-今後の目標はなんですか。
看護師の働き方について研究をしたいと思っています。
今まで、悩みを抱えた看護師や心理的に辛くて辞めていく人をたくさんみてきました。
看護師って楽しい職業だと思います。
もっと楽しく働いても良いのではないかなと。
辞めていく人は本当に深刻に悩んでいて、そこまで追い込まれる原因が今の看護の中にあると感じています。それが何なのかを明らかにできたらと思っています。
目標は、研究で看護師の離職を減らすこと。
今、コロナ禍で同じ病院内や外部とのコミュニケーションが減っており、それに伴い看護師のやる気も低下していると感じています。
離職率増加にさらなる拍車がかかっているのではないでしょうか。僕は、人と話すことが大事だと考えています。
人と話すことは、単なる情報共有ではなく、話すことで自分の気持ちに気づけるのではないでしょうか。
YouTube看護大学のオフ会などを開催して、人と人との交流を増やすことももう一つの目標です。
JIROさんが「看護に不安を抱いている人に届けたい」「看護の現場を本気で変えたい」と熱意を込めて作った電子書籍です!!
インタビュアー:西山妙子
ライター:東恵理
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